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大空に輝く光 希望の都-LAEVATEINN- 

 闘技都市ヴァンドールを離れてしばらく。
 コヨーテはフォーチュン=ベルを訪れていた。
 【レーヴァティン】は三度も吸血鬼との戦いを終えており、打ち直しが必要だと感じたからだ。

 工房の扉をノックすると、野太い声が入るよう促した。
 扉を開けると、むわっとした熱気が皮膚をなぞる。

「ほう、お前か」

 『神の鎚』ことブレッゼンは、にやりとした笑みでコヨーテを迎えた。

「久しぶりだなブレッゼンさん。
 あんたの子供レーヴァティンにはとても世話になっているよ」

「ふん……して、何用じゃ」

 ブレッゼンも世辞の類は嫌いなのか、さっさと先を促してそっぽを向いた。
 その横顔に一瞬笑みが浮かんだのを、コヨーテは見逃していない。
 素直じゃないなと思いつつも口には出さず、【レーヴァティン】を石の台へ置いた。

「先日、自分の戦闘スタイルを見直していた時の事だ。
 なんとなくだが、【レーヴァティン】の鼓動を感じた気がする」

 鼓動、あるいは産声だったか。
 ヴァンドールでの試合のさなか、『戦いの勘』を掴んだ時に感じたのだ。
 ブレッゼンは鞘から【レーヴァティン】を抜き、まるで赤子をあやすような優しい手つきで観察していく。

「……なかなかに使い込んだものじゃ。
 こやつは苛烈な戦いを好む性格でな。
 どうやらお前を本格的に気に入ったらしい」

 更にブレッゼンは刃をまじまじと見つめる。

「ほほう、【レーヴァティン】が語っておるわ。
 強敵との戦いを経て、こやつ自身が更なる段階を望んでおる」

 剣にも意思は宿る。
 およそ剣を扱う者にとって、相棒に認められるというのはこの上ない誉れだ。

「しかし、たった一月半でよくぞここまで心を通わせたものだ」

「たった一月半だったが、それなりの窮地を乗り越えてきたからな。
 今思い返しても、【レーヴァティン】が無かったらいつ死んでもおかしくない状況だったよ」

 この短期間で吸血鬼だけでも既に三人を相手にしているのだ。
 並の剣なら折れるか曲がるかはしていただろう。
 少なくとも、まともな状態ではいられなかったはずだ。

「ふむ、では優先して仕上げてやろう。
 それでも打ち直しには一週間ほどかかる。
 逞しくなった【レーヴァティン】を受け取る前に死ぬでないぞ」

「はは、分かったよ。それじゃ一週間後に」

 代金を払って工房を後にしようとしたコヨーテは、ふと思い出した。
 以前ここを訪れた際にサンディと世間話をしたのだが、そこで聞いたブレッゼンの好物。
 世話になっているからと、あれから珍しいものを集めていたのだ。

 振り返ってみると、ブレッゼンはすでに真剣な目つきで作業に取り掛かろうとしている。
 せっかく優先してくれているのに邪魔しては悪いと思い、販売所のサンディへ渡しておいた。

 トレアドールの【蒸留酒】にマサカの【サクランボ酒】、ポートリオンの【紅の果実酒】、極めつけが伯爵の別荘から頂戴した【高級葡萄酒】と、かの有名な【アーシウムの赤】等々。
 通には堪らない、銘酒の数々だ。
 いくつかは冒険の最中に手に入れたものだが、『地図作製組合』から報酬代わりに譲られた品もあった。

 後日。
 土産物に驚喜したブレッゼンが手がけた【レーヴァティン】は見違えるような立派な剣として転生した。
 単なる鉄塊のような無骨さは控えめになり、滑らかな剣身やといからは不思議と繊細さすら感じさせる。

 新たな【レーヴァティン】を手に、コヨーテはフォーチュン=ベルを後にした。


To Be Continued...  Next→
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周摩

Author:周摩
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