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『愚者たちの報い』 

 『大いなる日輪亭』。
 リューンに星の数ほど存在する冒険者の宿の質を平均を割り出せば、中の下といったところだろう。
 それでも夕飯時から夜更けにかけてはかなりの賑わいを見せる。
 亭主エイブラハム=エイムズの料理の腕と、酒の種類の豊富さがこの宿を支えているのだ。
 そしてもう一つ。

「ただいま手の空いている者に話を通しますので、そのテーブルに着いてお待ちください」

 依頼の貼り紙を持参した中年の男は会釈すると、無言で示された席に着いた。
 亭主エイブラハムは受け取った貼り紙を再度見直してため息をつく。
 この手の依頼はあまり扱いたくないと思っているのだ。

(しかし内容が内容だしな……、下手な奴らには任せられん。
 性質を理解している分、コヨーテたちになら安心して任せられるんだが、今はいない)

 その『月歌を紡ぐ者たち』は先日の依頼で国家反逆罪レベルの所業を犯した危険人物に命を狙われ命からがら窮地を逃れたばかりだ。
 現在はそれぞれの目的の為に各地へ散っている。
 宿には傷の療養の為に残ったシスターと、その付き添いの狩人の二人だけしかいない。

 周囲には上手く誤魔化しているが『大いなる日輪亭』はそれほど安定していない。
 それというのも、宿の顔となる看板冒険者が存在しないからだ。
 元々高名な冒険者を抱えていた訳でもない上に、それなりに経験を積んだ冒険者パーティはつい最近引退してしまった。
 専属冒険者のほとんどが『月歌を紡ぐ者たち』よりも後に登録した者たちで、即座にデリケートな依頼を任せられる程の信頼がない。

 仮に信頼のおける冒険者がいたとしても、この内容では請けてもらえるかどうかが分からない。
 何しろ依頼の内容は『復讐の代行』であり普通の冒険者ならあまり請けたがらない部類の依頼だ。
 そもそも復讐自体が違法性のある可能性が高く、加減しすぎれば依頼は失敗となり、やりすぎれば冒険者がお尋ね者となってしまう。
 どれだけリターンが大きくてもそれ以上のリスクを背負ってしまうのでは進んで請けたがる冒険者はいないだろう。

 さてどうするかと頭を抱えた親父の悩みは、わずか十数秒後に吹き飛ぶ事となる。
 まさかと思っていた、進んで請けたがる冒険者が現れたからだ。
 それがとんでもなく破天荒な冒険者だった事が、親父に新たな悩みを生む事になるのはまた別の話だろう。



「あなた方が私の依頼を請けてくださる冒険者の方ですか……?」

「その通り! 我ら『陽光を求める者たち』に何でも依頼するがいい!」

 自信満々に言い放ったのは燃えるような赤い髪をした少年だった。
 そして即座に黒髪の美女に後頭部をぶん殴られた。
 早速のトンデモ行動に、心配でカウンター越しに見守る事にした親父の胃がダメージを受ける。

 赤い髪の少年はエリックという、最近良くも悪くも有名になってきた冒険者だ。
 正義の味方を自称してはばからず、夜な夜な街へ出ては悪事を働くチンピラなんかを退治しているらしい。
 これだけ聞けばまともだと受け取られかねないが、彼がこの行動に出る際はどういう理屈か変な兜を被りド派手な衣装に着替えてから行うのだから、下手しなくてもただの変態にしか見えない。
 それでいてチンピラ数人くらいなら徒手でも相手取れるほどには喧嘩が強いのだから却ってタチが悪い。

 そしてそんな彼の頭をぶん殴った黒髪の美女はマリナという。
 元々は日の当たらない場所で仕事をしていたという彼女は盗賊ギルドの深い場所の人間だった。
 ともすれば一般人と見まがう衣装の彼女だが、普通とは言えないくらいに丈夫そうな、肘まである黒い手袋が唯一の特徴だ。

「失礼しました。依頼を請けるか否かはお話を聞いてみないと判断しかねます」

 どうにか取り繕って話を進めたのは金髪の女性だ。
 多少派手ではあるが聖北の修道服に身を包んだ彼女の名はレティシア。
 以前話した際に『月歌を紡ぐ者たち』のルナと同期だと言っていたが、彼女と決定的に違う点は椅子に立てかけた立派な細剣だろう。
 レティシアは一般的な『シスターさん』というイメージからはだいぶ離れたところに位置する存在らしい。

「ああ、申し訳ない……皆さんには重要な事ですからね」

 どこか思いつめたような顔をしているこの男は、今回の依頼主だ。
 年の頃は初老一歩手前といったところか。
 リューンの銀行に勤めているらしい。

「皆さんに頼みたいのは一応『復讐』……という事になるんでしょうかね」

「どういう事ですの? くわしくおねがいしますわ」

 たどたどしい調子で問うたのは、髪を飾る大きな赤いリボンが特徴的な少女だった。
 彼女は弱冠一二歳で一端に魔術を扱えるとして未来を期待されているクロエという才女だ。
 恵まれた才能を早くに開花させ大学への飛び級も確約されていたが、ある日暇つぶしに行った『星を追う者たち』の魔術師レギウスと魔術論争でこっ酷くやり込められてからは彼を師匠ししょー呼ばわりして追い掛け回しているという、変人候補である。

「……そう、あれは今から少し前の事でした」

 ぽつりぽつりと、依頼人の男は話を始めた。
 内容はある意味では在り来たりな、追い剥ぎに遭ったという話である。
 が、場所がリューン市内という事で路上強盗なのだろう。
 奪われたのが金品だけならまだしも、と男は深くため息をついた。

「……私は身ぐるみを剥がされました。
 気絶させられた私は全裸で大通りに捨てられたんです。
 それから治安隊に行って犯人の逮捕を頼みましたが……結局、犯人は見つからなかった。

 それから私が全裸で大通りに捨てられていたので変態って言われるようになりましてね……
 私だけなら良かったんです、でも娘や妻まで……
 そして先日、とうとう娘と妻が出て行ってしまいました」

 と、依頼人はうなだれた。
 青年は無表情のままため息をついて目を閉じた。
 同時に、聞き飽きたとばかりに初老の男がそっぽを向く。

 無表情の青年はガイア、初老の男はスコットという、元山賊とその頭領だ。
 二人はとある抜き差しならない事情からエリックたちと冒険者パーティを組む事になったのだが、中身は未だに山賊気分のようだ。

 ガイアは頭領スコットの懐刀であり、一流の剣術を扱う凄腕だ。
 用心棒の仕事もこなしていたという事もあり、眼光がすでに堅気じゃない。
 一方のスコットはいかにもだらけたような雰囲気のおっさんといった感じだが、ガイア同様瞳の奥は鋭い。

「私は許せないんです。
 幸せに暮らしていたはずなのにあれで全てが崩れ落ちました。
 もう取り戻す事はできない。

 ですがせめて……あの連中に復讐したいんです!」

 相変わらずな反応を見せるスコットに対して、エリックは少し身を乗り出しつつある。
 どうやら彼の『正義の心』とやらが共感しているのだろう。

「もう終わった事として治安隊は取り合ってくれません。
 それに逮捕される程度じゃあ私の気が晴れません。
 どうか、皆さんの力で奴らを懲らしめ、そして治安隊に引き渡して欲しいんです!」

「ぃよぉぉぉし! 任せろッ!!」

 渾身の力を込めて、エリックが叫ぶ。
 同時にマリナの肘が彼のこめかみに直撃した。
 あれは下手したら絶命する恐れのある一撃だが、エリックはまるで堪えていない。

「ひとまず、こいつは放って置いて下さい。
 幾つか質問があるのですが、よろしいですか?」

 再びレティシアが取り直し、話をまともな方向へ引っ張る。
 彼女の問いに依頼人は快く頷いた。

「まず懲らしめろとの事ですが、やりすぎては我々が治安隊のお世話になってしまいますし、足りなければあなたに納得していただけません。
 治安隊に引き渡す事が条件のようですので、多少荒っぽい方法でブチのめしてもよろしいので?」

「はい、そうなれば後は私がやります。
 とにかく犯人さえ見つかれば……私の友人がどうにかしてくれます」

 聖北のシスターさんの口から出た『ブチのめす』という大変貴重な発言をも、依頼人は気にしていないようだ。
 親父としては胃にチクチクとダメージを受けているのだが。

「では次ですの。犯人に心あたりはありませんの?」

「正直、検討もつきません……
 しかし、そういえば奴らは全員緑色のバンダナをつけていました。
 ユニフォームのようなものなのかもしれません」

「何でぇ、カラーギャングか。
 ……いやちょっと待て。
 お前さんが襲われたのは夜だろ、何でンな事まで分かるんじゃい」

「こう見えても視力と記憶力には自信がありますので」

 半信半疑といった様子で、スコットは肩をすくめた。
 リューンの治安隊はここまでの情報を与えられておきながら犯人を挙げられなかったのかと落胆しているのだろうか。

「んで、見返りは?」

「依頼を達成していただければ銀貨四〇〇枚をお支払いいたします」

「安い。話にならんわ」

 ばっさりと切り捨てるスコットに、宿の親父の胃がジクジクし始めた。
 値上げの交渉にしてももう少し言い方ってものがあるはずだ。

「うう、分かりました。
 少し待ってもらう事になると思いますが、一〇〇枚ほど増額します」

 依頼人は若干涙目になっている。
 親父の胃も限界だ。

「まぁいいじゃろ。こんなもんで」

「ではこの依頼、請けさせていただきます」

 どうやら決まったようだ。
 話が妙な風に拗れなくて済んだ事に、親父はほっと胸を撫で下ろす。

「では親父さん! 行ってくるぞッ!」

「お、おう、気をつけろよ。
 初仕事なんだ、気張っていけ……」

 しこたま殴られていたはずなのにたいそう元気なエリックに、親父はほうほうの体で応えた。



 リューンの街に出たエリックらは犯人のアジトへ到着した。

「待て待て待ていッ! 展開が早すぎないかッ!? 過程はッ!?」

「……リーダー、もしかして寝ボケていたんですの?」

「そんな事はない! お目目はパッチリだ!」

「なにも分からないでそこのチンピラさんをなぐっちゃったですの……?」

「あ、あれは向こうから喧嘩売ってきたんじゃん!」

 六歳も年下の女の子に心底呆れられ、エリックはちょっとヘコんだ。
 が、不屈の闘志で持ち直すと、頼れる参謀役マリナへと視線を移した。
 そして『説明オネガイシマス』と目だけで伝える。

「あんたの頭でも理解できるように説明するのって疲れるんだけど。
 特別手当もらってもいいくらいには」

「待ってください。私もちょっと展開が早すぎると思いますが」

「ほら見ろ! おれ以外にも付いてこれてない奴いるじゃん! 説明プリーズ!」

 マリナはぎゃあぎゃあとうるさいエリックの鳩尾にとりあえず一発パンチして大人しくしておく。
 ようやく静かになったところで、説明を開始した。

「緑色のバンダナって情報だけで犯人グループの特定はできたわ。
 奴らは『グリーンダイバーズ』と名乗ってる小規模なカラーギャングね。
 やってる事はしょっぱいけど被害者の数だけは立派なもんよ」

「その『グリーンダイバーズ』が犯人グループだという確証はないのですか?」

「必要ないでしょ。
 そもそも犯人グループが緑のバンダナを巻いているって情報は依頼人から貰ったのよ。
 それを基に情報を集めていくのは当然の行為だし、結果的に間違っていたとしても依頼人の落ち度って事で揺さぶるわ」

「……しかし、大義名分がなくなっては復讐の代行は難しいのでは?」

「世間のあいつらに対する風評、聞いてみる?
 『どうしようもないろくでなしのクズども』、『社会のカス』、『とっととキーレ送りになれ』、『×××ピー野郎ども』」

「分かりました、もういいです」

「『×××ピー××ピー』、『死刑とか×××ピーにしていいんじゃね?』……」

「もういいっつってんでしょうが! 耳障りです!」

「ま、結局そこら中から悪評が沸いて出ているのよ。
 つまりそれだけ被害者がいるって事ね。
 仮に依頼を請けたっていう大義名分がなかろうが、間違ってたら間違ってたで慈善活動って事で片付けていいのよ」

「……そ、それで、どうしてアジトまで分かったんだ?」

 さっきよりも随分と大人しくなったエリックは鳩尾を押さえつつ問う。

「さっきあんたがチンピラと遊んでる間に聞き込みしておいたわ。
 すごく快く答えてくれたのが気になるけど、スラムの人間からも見限られてるみたい。
 どちらにしろ先は短かったって事ね」

 吐き捨てるように言って、マリナは目の前の酒場へ視線を移す。
 『エボラ』という名の、何の変哲もない酒場だ。

「さてさて、こっからはお前さんの十八番じゃろ。
 暴れてくりゃいいじゃねぇか『正義の味方』エリックさんよぉ?」

「あ、うん……でもちょっと待って。マリナの腹パンチ……ヤバすぎ……」

「ハイハイ、おっ邪魔しまぁす」

「スコォォォォォット!?
 待ってって言ったじゃん、おれ言ったよね!?
 何で戦う前からダメージ持ち込んでんのおれぇ!?」

 あろう事か味方の手で、無慈悲にも開かれた扉の向こうではチンピラたちが談笑している。
 なるほど全員が緑色のバンダナを頭に巻いている。
 彼らが悪名高き『グリーンダイバーズ』である事は間違いなさそうだ。

 しかも大声で話している内容が例の依頼人の件のようで、実に分かりやすい。
 腹へのダメージから満身創痍だったエリックの瞳に光が宿る。
 善良な依頼人を侮辱する大笑いに、怒りの炎が燃え上がる。
 ついには腹のダメージすらも忘れて、エリックはチンピラに詰め寄った。

「なんだぁお前ら、ここは貸切だぜ。さっさと出ていきな」

「なぁに、テメェらを叩きのめして治安隊に叩きだせと頼まれてな。今から実行するところだ」

 エリックの返答に、再びチンピラたちは大笑いする。
 喧嘩を売られているのだと理解したようだ。

「俺ら『グリーンダイバーズ』よ? 分かっててここに来てんの?」

「おいおいどうでもいいじゃねぇか。
 ぶちのめしくださいってわざわざ言いに来てるんだ。
 お望み通りにしてやろうぜ」

「くくっ、それもそうだな。
 冒険者なんざ俺たちの敵じゃねぇ」

「あーあー、無駄なお喋りはもうやめろ。
 テメェらはただひたすらに自らの行いを後悔しながら、ついでに詫びの言葉でも考えながら神妙に制裁を受けるんだ」

「……ぶっ殺す」

 チンピラの一人がナイフを抜いて、エリックへと迫る。
 対するエリックは首から提げた七色の七つの石を撫ぜ、

「――変ッ身ッ!!」

 石から放たれた猛烈な光の奔流と共にエリックの姿が眩む。
 光は一瞬で治まったが、そこに立っていたのはさっきまでのエリックではない。

「さぁさぁ、矯正の時間だ!」

 赤色系の下地に黄色いラインが走った、真っ赤なマントが特徴的な鎧のような衣服。
 アーメットに近いが黄色い触角のような飾りのついたデザイン性の高い兜。
 一見すれば鎧だが、下半身にはそういったゴテゴテした印象のないスマートなデザインは、どちらかといえば仮装に近かった。

「なんだこいつ!?」

「怯むんじゃねぇ! ただの虚仮脅しだ!」

「ぐぁーはっはっは! 脅しかどうか、その身でとくと味わうがいい!!」

 テンションが上がりすぎてどこぞの魔王のような叫びを上げながら、エリックはチンピラに飛びかかった。

「喰らえい!」

 勢いそのままに掌底をチンピラの腹に叩き込む。
 そのチンピラの足は地より浮き、ノーバウンドでカウンターを飛び越えていった。

「な、何だ今の技は! とんでもねぇぞ!」

「はぁっはっは! 今のはリューン闘技場が誇る気功法のひとつ、【掌破】だぁぁぁ!!」

「えっ、【掌破】ってあの……? よわ――」

「弱くねぇよ、謙虚なだけだ!
 鍛えりゃ強くなるし幽霊とかにはすげぇ威力になるんだぞ、お前らいっぺん幽霊になって喰らってみるか!?」

 エリックら『陽光を求める者たち』は冒険者駆け出しである。
 しかしそれは冒険者としての経験が少ないという意味であり、戦闘技術が低いという意味では決してない。
 むしろ夜な夜なチンピラ狩りに精を出すエリックや元山賊のガイアやスコットといった連中は、形式こそ違えど実戦の経験は少なからずあるのだ。

 『グリーンダイバーズ』は全員が大振りのナイフを持っているが、自称正義の味方であるエリックは怯まない。
 突き出されたナイフを持つ手を掴んで引っ張り、カウンターの要領で左の拳を顔面に叩き込む。

「ぐげっ!」

 潰れたカエルのような声を上げて、チンピラが壁に叩きつけられた。
 エリックの纏う『不撓の魔鎧』には攻撃の威力を高めるような効果はなく、シンプルに物理・魔法に対する耐性を付与する。
 よってこれらの動作や攻撃の威力はエリックが培った格闘の技術の集大成だ。

 相も変わらず滅茶苦茶な男だとガイアは表情を変えずに呆れる。
 あのヘンテコな装束もそうだが、彼は武器を持たずに徒手で戦う。
 幼い頃から剣を握って生きてきたガイアには到底真似できない。

 エリックの大暴れを尻目に元山賊のガイアは刀を抜かずに携え、横目でリーダーの姿を追う。
 山賊時代から何度か縄張り争いに借り出された事があったが、その際は大抵ガイアが独走して頭領を切り伏せて戦いを終わらせていた。
 今回の相手のようなチンピラ集団とくれば所詮は烏合の衆と相場が決まっている。
 ならばガイアがやる事も決まっている。

「殺すなよ。殺したらあの『正義の味方』がうるっせぇからのう」

「……承知」

 かつての主スコットの指示に短く答え、戦いを終わらせるために足を踏み出す。
 視界の端ではマリナが鋼線でチンピラの首を絞めているし、クロエの魔法に翻弄されるチンピラをレティシアが細剣の柄でぶん殴って気絶させている。
 何だかわざわざガイアが出て行く必要もなさそうに思えてくるが、油断は身を殺す事を彼は理解していた。
 リーダー格のチンピラへと歩を進めると、わずかにでも忠誠心のある手下がその前に立ちふさがろうとしている。

「……死にたくなければ俺に向かってくるな。あの仮面男なら身体の欠損も後遺症もなく気絶させてくれるぞ」

 そう告げて、ガイアは得物である東洋の剣を鞘に入れたまま腰を落として構えた。



 後日、依頼人からお礼の手紙が届いた。
 手紙では依頼人は今までの仕事を辞めて、妻子と共に全く別の土地で新しい生活を始めるそうだ。
 誰も自分の事を知らない新天地を求めて旅立ったのだろう。

 一方、『陽光を求める者たち』にボコボコにされたグリーンダイバーズには更に懲役刑が課せられたそうだ。
 彼らが捕まった事が知れると、彼らの被害者が次々と立ち上がった。
 それほどの数の被害者を無視できなかった治安隊は重い腰を上げて捜査を始め、罪状を固めてグリーンダイバーズの裁判を行う。

 あまりにも簡素な裁判だったらしい。
 裏で誰かが手を回した結果なのだろう。
 罪状は麻薬所持、強姦、強盗、その他諸々、もう二度と娑婆に出てくる事はないのかもしれない。

 そして、新天地へ旅立った依頼人。
 彼はリューンから逃げ出したのだろうか。
 それとも。

「ま、考えても埒が明かないわね」

 上乗せ分も含めて五〇〇枚の銀貨が詰まった袋を弄びながら、マリナは杯の中の葡萄酒を乾した。



【あとがき】
『陽光を求める者たち』、最初のシナリオはwizさんの「愚者たちの報い」です。
サクッと終わる短編の討伐シナリオです。
Readmeにもありますが、まさしくチンピラのためのチンピラによるチンピラのシナリオなんですよね。
純粋な悪としてのチンピラがここまでインパクトのある敵役というのは逆に珍しい気がします。

『陽光』ですが、見たまんま全員変人です。
辛うじて常識人に近いのがマリナくらいですが、彼女も彼女で……
さすがにサクサクッと終わるこのシナリオで全員の見せ場を作る事は難しかったので、他のメンバーはまたいつか出番を与えたいですね。

【掌破】の下りに関しては某所で某お布団の精霊さんに触発された結果です。
ホントに【掌破】は対霊体用技能としては優秀なんですよ。
レベル1なら。

『不撓の魔鎧』(変身アイテム)につきましては現在作成中です。


☆今回の功労者☆
エリック。自称『正義の味方』の面目躍如。

報酬:
基本報酬→400sp
追加報酬→100sp


≪著作権情報≫
今回プレイしたシナリオ
『愚者たちの報い』(wiz様)

当リプレイはGroupAsk製作のフリーソフト『Card Wirth』を基に周摩が製作したリプレイ小説です。
著作権はそれぞれのシナリオの製作者様にあります。
また小説内で用いられたスキル、アイテム、キャスト、召喚獣等は、それぞれの製作者様にあります。
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この記事へのコメント

いやぁ、ついに陽光を求める者たちのリプレイアップですね。お疲れ様です!
あらかじめ、何かの話の折に「濃いパーティですよ」というのは示されてらっしゃいましたが、確かにすんごいキャラクターの光る面々ですね…親父が胃を痛くするわけだ…。

某所にて「ガイアさんは剣のレベルがすごい」ということを伺い、なんとなく彼は剣豪とか剣匠みたいな称号をそのうち取得しそうな予感がします…あれより強いのか…。あとこっちのシスターさんはとっても過激で、うちの魔法使いが仲良くできる気がしてきました(笑)

他パーティでは中々挑めないような傾向の依頼も、彼らならさくっとやってくれそうで楽しみです。
ただ、次に控えている月歌のリプレイはきっとあのシナリオだろうと思っているので、そちらもわくわくして待っております。

ではでは、更新お疲れ様でした!ありがとうございます!
Leeffesさんいらっしゃいませ!
そしてお読みいただきありがとうございます!
親父の胃はコヨーテたちによって癒され、レギウスやエリックたちによって痛めつけられます。
なんてかわいそうな親父……(自分でやっておいて)

純粋な剣術勝負ならガイアはトップクラスの実力を持っています。
ただ体質が人間離れしていたり、魔法や奇蹟を使われたりすると苦戦するのは間違いありません。
彼は良くも悪くも剣術特化ですからね。
(ちなみに某所ではガイアが結構人気でびっくりしました)

レティシアさんは暴言メーカーですね。
パーティに一人は暴言吐きがいないと収まらない私のパッション(謎)ですが、よりによってシスターさんにその役目を担わせるという暴挙。
ジーニさんとは一度お茶しながら雑談してみてほしいです。

『陽光』も『星』もちょくちょくリプレイするつもりです。
そして次回の『月歌』はそう、あれです。
すでに作者様に許可も頂きました……うふふ!


次回も読んでいただける事を祈りつつ、必死にリプレイを書きます。
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周摩

Author:周摩
しがないリプレイ書きのブログです。

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当ブログはリンクフリーです。報告は不要ですが、あれば相互リンクさせていただきたいと思います。

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