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『賢者の果実』(2/4) 

 宿に戻った『星を追う者たち』は遅めの夕食を摂った。
 何だか異様に張り切った娘さんがリス用の食事――ごく普通の木の実類――と、リス用のベッド――籠の中にふかふかのクッションが敷き詰められている――を披露した事でステラの狸寝入りが炸裂したが忙しい夕方という事もあって、娘さんはさほど執着せずに仕事に戻っていった。

 とりあえず木の実を齧っていたステラではあるがやっぱり物足りないらしく、すっかりしおらしい。
 今朝同様に、レギウスが籠の陰で食事をステラに分け与えた。
 半ば興味本位で獣の肉も与えてみたが、特に意に介さず平らげたところを見ると、リスに変化しているからといって一気に草食になるという訳でもなさそうだ。

 適当に食事を済ませた『星を追う者たち』は二階の自分らの部屋に戻る。
 娘さんより託されたリス用のベッドをサイドボードに置いて、そこへステラをそっと置く。
 やれる事はない、と宣言したレギウスの指示の元、皆一様に眠る事になった。

 夜が更けてしばらく、リス用のベッドの中でステラはころんと寝返りを打った。
 視線の先には窓があり、その向こうの空は晴れており、綺麗な月が昇っている。
 彼女の名前の由来たる星々がやけに輝いて見える。

「……はぁ」

 思わず、ため息が漏れた。
 暗い天井を見ていると、様々な事が頭をよぎる。
 油断すると、心の隙を突いて押し寄せる不安と憂鬱の波に飲み込まれそうだった。

 もうステラには対処できるレベルの事態を超えている。
 今回の件が魔術絡みである事はほぼ間違いない。
 であれば彼女が最も信頼するレギウスに頼るしか手がないのも事実だ。

「……ステラ?」

 再度大きなため息をついた後、控えめにドアがノックされたかと思うとマーガレットの声がした。
 マーガレットは返事を待たずにドアを開けて入ってくる。

「どうしているかと思って来てしまったが、大丈夫かね?」

「うん。ご飯も食べたし、落ち着いたよ!」

 マーガレットはそばに来て、ベッドの端に腰を下ろした。
 それからしばしの沈黙が流れた。
 階下からは酒場のざわめきが聞こえてきて、完全な沈黙とはならなかったが。
 どうやら誰かがどんちゃん騒ぎをしているらしい。
 なんというか、いつもの『大いなる日輪亭』を切り取った風であった。

「わたし……、わたし、どうなっちゃうのかなぁ」

「元に戻るさ」

「でも……でも、原因が分からないんじゃ……」

「うむ、それも含めて色々あたってみるとしよう。全ては明日だ」

 マーガレットは手を伸ばしてふわりとステラの身体に触れた。
 それから安心させるように、やさしく撫でる。

「心配要らない、必ず元に戻るさ。
 皆で事に当たれば必ず道は開ける、ボクたちを信じたまえ。
 それに君の信頼するあのレギウスはそこまで柔な魔術師じゃない、というのは君が一番良く知っているだろう?」

「マーガレット……」

「それに、パウラさんだって手伝ってくれている。
 なんたって彼女は魔術師だ、魔術師たる彼女がこの謎を放っておくはずがない。
 最大限の熱意で取り組んでくれる事は間違いない。
 汎用性のレギウスと専門家のパウラ、この二人が組めば何も心配する事なんてないのさ」

「あはっ、そっかぁ……そうだよね」

 ようやくステラは笑った。
 実際はリスの姿なので定かではないが、声は間違いなく笑っていたはずだ。

「焦らないで、順番にやっていこう。
 明日もう一度パウラさんを尋ねて、調査の結果を聞く。
 それからステラも、もう一度色々思い出してみてほしい。
 どんな些細な事でも構わない、何が解決に繋がるか分からないからね」

「……ん、わかった」

「しっかり食べて、よく休むんだ。疲れていてはどんな力も出ない。
 おっと、感動したならば遠慮せずにマグ姉と呼びたまえよ?」

「……遠慮しとく」

 せっかくいい感じにだったのに易々とぶち壊してしまうマーガレットだった。
 その後添い寝するだのしないだの、寝返りだけで死ねるだの死ねないだのと会話を重ねるも、やがてステラはリス用のベッドで寝こけてしまった。
 少し経って、ノックもせずにドアを開けてレギウスが入ってくる。

「どうだ?」

「ん、眠っているよ……それで、どうだね?」

「まだどうとも言えねェな。幾つか気になる事はあるんだが」

 レギウスは食事を終えてすぐ、宿の屋根裏に存在する書物の貯蔵庫へと足を運んでいた。
 元々レギウスが所持してた書物の一部であり、コヨーテが以前使っていた部屋を間借りして貴重な資料のみを選んで保管してもらっていたものだ。
 そこに何かヒントがあるかもしれないと、レギウスはさっきまでずっと調査を進めていた。

「……随分と堪えている様子だよ」

「チッ、仕方ねェか。幾らこいつが極楽トンボでも不安にもなるだろうよ」

 言って、レギウスは窓際から空を見た。
 憎たらしいくらい、ステラの名の由来たる星々が輝いている。

「……自業自得だ、馬鹿が」

 苛立ち、焦燥、それらの思いの全てがステラにではなく、レギウス自身に向けられている事に、マーガレットは気づいている。
 そもそもマーガレットにここに来てステラを励ますよう指示を出したのは他でもないレギウスだ。
 彼は誰よりもステラを、仲間を思って行動できる男である。

「ま、説教も反省も元に戻ってからたっぷりやりゃあいい」

「ふふっ、覚悟したほうがよさそうだね」

 マーガレットは丸くなって眠っているリスをちょいちょいとつついた。
 からかうような言葉になったのは、レギウスの言葉が思いのほか照れ隠しのように聞こえてしまったからだろうか。
 なんというか、聞いているほうが恥ずかしい気がする。

 それからしばらくレギウスとマーガレットは小声で話し合いを続けた。
 明日の予定から、想定できる限りの状況に対する方策を練る。
 策士たるレギウスにとって出た所勝負というのはありえない。
 その周到さこそがレギウスの強みでもある。


 翌朝、窓の向こうからは小鳥のさえずりがひっきりなしに聞こえてくる。
 なんとも平和で清々しい朝であるが、寝起きしたベッドがリス用でなければ最高だった。
 ステラはリスの姿で深くため息をつく。

「う~ん……やっぱり、リスだなぁ~……」

 ステラは自分の身体をしげしげと見た。
 ふさふさの毛が生えていて、宿の亭主は羨ましがるんじゃないか。
 しかし本人の耳に入ったらぶっ飛ばされてしまうかも、という益体のない想像をしてしまう。
 レギウスを先頭に、次々と『星を追う者たち』が部屋に集ってきた。

 昨晩のマーガレットの励ましのお陰で、ステラの気持ちも幾分か軽くなっていた。
 ステラからは少なくとも昨晩までのように気分が沈んだ様子は消えているはずだ。

「さっさとメシ食っちまおうぜ」

 反対に、レギウスは少し不機嫌だった。
 結局わずかな睡眠しか取れないほどに調査を進めたのが、芳しい結果は得られなかったのだ。
 彼にとっては何も分からない状態で一夜を明かすなんて気持ち悪くて仕方がないのだろう。

 一階に降りた『星を追う者たち』は、軽く宿の亭主や娘さんに挨拶を交わしてカウンターに着いた。
 ただリスのステラに対しては娘さんからラブビームが飛んでいった。
 朝から熱い、熱すぎる。
 やがてカウンターに並べられた食事――リス用の食事ももちろんある――をつつきながら、今日の行動方針を固める。

「今日は、もう一度パウラさんのところに行くんだよね?」

「いや、その前に賢者の塔に寄るつもりだ。専門の機関で調べさせりゃ、何か手がかりが掴めるかも知れねェ」

「!!!!!!」

 リスのステラはぶんぶんと首を横に振ってノーサインを出している。
 それを一瞥したレギウスは、

「拒否権はねェよ」

「と、塔の魔術師にバレたら実験台にされちゃう!」

 確かに生物学的にも喋るリスというのは希少に過ぎるし、魔術だとしてもこの辺りではお目にかかれないものだ。
 経過観察だけならばまだしも、様々な魔術を用いての実験となればステラが壊れてしまう可能性も大いにある。

「ま、可能性はあるな」

「いぎゃ~~!! やっぱり~~~!?」

「まぁまぁ、ステラをいじめるのもその辺にしておきたまえよ」

「……冗談はともかく。
 塔ならジャンルを問わず多量の経験と知識が集まる場所だ。
 何らかの対処法、あるいは似たようなケースの記録があるかも知れねェ。
 とにかく、今は手がかりが必要だ」

「ふむ、君が他の機関を頼るなんてよっぽどだね」

「うるせェよ……ま、少し確かめてェ事もあるからな」

「で、でででででも! 実験台になったら……」

「させるかよ馬鹿、いいからオマエは黙ってリスの振りをしてりゃいいんだ」

「……ほんとに?」

「俺が今までに一度でも嘘ついた事があったかよ?」

 結局はその一言が決め手となり、ステラは静かになった。
 手早く食事を済ませて『星を追う者たち』は宿を出る。
 ちなみに、相変わらずステラは小さなリスの身体でレギウスから貰った大きなパンの欠片を平らげている。

「一度でも嘘ついた事ないんだ?」

「必ず騙せる相手を騙して面白ェかよ」

「それはそれで面白いんじゃない?」

「……そうでもねェんだよ。年中人を騙してるようなクソガキには分からねェだろうがな」



 交易都市リューンが誇る賢者の塔は、例え朝であっても人の出入りが激しい。
 勝手知ったるレギウスを先頭に、『星を追う者たち』は奥まった場所にある広めの部屋に乗り込んだ。

「邪魔するぜ」

「あら、こんにちは」

 ノックもなしに乗り込んだレギウスを見ても咎めもしない青髪の若い女性魔術師は、手元のめくりかけの本から顔を上げた。
 その手馴れた対応から察するに、いつもレギウスはこんな風にぶっきらぼうに訪れているのだろう。

「ん、どうしたの? 随分と珍しいものを連れているみたいじゃない」

「まぁな、オマエはこれをどう見る?」

「? どうも何も……魔法生物でしょ?」

「魔法生物!?」

 予想外の答えに、思わずターニャが声を張り上げていた。
 問いを投げかけたレギウスは取り乱す事なく、ただ舌を打つばかりだ。
 まるでその答えを予期していたかのように。

「えっ、なになに? 面白そうね?」

「いや面白くねェよ。そんなに興味持つんじゃねェ」

「えーっ!? それを言われて持たないなんて不可能よ!」

 青髪の魔術師はきらきらと目を輝かせている。
 どうも魔術師としての好奇心に火が点いてしまったらしい。

「チッ、ひねくれ者どもめ」

「フン、冒険者に言われたくないわね!」

 そうして二人はしばらく睨みあった。
 ステラを除く『星を追う者たち』は総じて心の中でどっちもどっちだとツッコミを入れていたが。

「……まぁ、いずれ協力を頼むかも知れねェ。が、今のところはまだいい」

「あら、今頼めばいいじゃないですか。お引き受けしましょう」

「予想は付くが……見返りは何を要求するつもりだ」

「見返りだなんて人聞きの悪い。私どもでお役に立てる事があれば、なんなりとお力になりますとも!」

 なんというか、とても嘘くさい。
 リスのステラを見る目が輝きすぎている。
 どう見ても好奇心に負けているようにしか見えない。

「ま、それはそれとしてですよ、それちょっと見せてもらえません?
 別に何もしやしませんよ、ね? ちょーっと調べるだけですから!!」

 青髪魔術師の目がギラギラと輝きを増した。
 今朝の娘さんのラブビームに劣らぬパワーにステラが青ざめながらおそるおそるレギウスへと視線を向ける。
 リスの振りをしていれば大丈夫だと、実験台にはさせないとレギウスは言っていた。

「タダならいいぜ、ほら」

 ステラの願いはあっけなく無視され、尻尾を掴まれて青髪の魔術師へと投げられた。
 声にならない叫びを上げるリスのステラ。

「……大事に扱ってくれたまえよ? 一応は預かりものなのだから」

「心配は要らねェよ、あいつはあれでも専門家だ。壊すなんて事はありえねェ」

「そういう事よ。さすがに分かってるわね」

 青髪の魔術師は早速リスの身体を撫で回していく。

「ふうん……? 変わってますね?」

 首を傾げながら、青髪の魔術師は呪文を紡いで術式を起動する。
 それが攻撃や呪術の類でないと分かっていても、リスのステラは成す術がない故に怖かった。
 気づけば青髪の魔術師の目からはさっきまでの浮ついた雰囲気は消え去り、真剣そのものとなっている。

「……これ、預からせてもらえませんか? もう少し詳しく調べたいわ」

「せっかくだが断る。俺の一存で決めていい事じゃねェからな」

 レギウスは青髪の魔術師の掌からリスの尻尾を掴むと、マーガレットに向けて投げた。
 その薄い胸に抱かれたステラは、ものすごい速さで懐へと潜り込む。
 相当の恐怖体験だったらしい。

「そう、残念だわ」

「現時点だけでいい。結果は?」

「……そうですね。すごく、すごく変わってる」

 それだけ言って、青髪の魔術師は少し考え込んだ。
 やはりあまり例を見ない類の現象なのだろう、言葉をじっくりと選んでいる様子だった。
 ややあって、青髪の魔術師は口を開く。

「結論から言えば……人為的に創られた『使い魔ファミリアー』ですね」

「使い魔……か」

「……一体、どなたから預かったんです?」

「それは教えられねェ」

 さすがにそこまで話してしまう訳にもいかない。
 ただでさえ相手は魔術師なのだ、ここまで見せてしまうのも一種の賭けではあった。
 幸いにも察してくれたのか、青髪の魔術師は引き下がった。

「ねぇ、人為的に……って、どういうこと?」

「使い魔はだいたい二種類に分けられまして……
 ひとつは最もポピュラーな召喚型です。
 対象を術者の下へ呼び寄せ、支配あるいは契約によって使役します。
 術者の能力が問われ、支配・契約できなければ召喚する事はできません」

 一般的な魔術師・魔女と言えばインプを使役している様を思い浮かべるかもしれない。
 インプは典型的な召喚型の使い魔である。
 他にも低級の妖魔や蟲などを使役している魔術師も多々存在する。

「もうひとつが創造型です。
 これは召喚型のように既存の存在を呼び出すのではなく、完全に術者の手によって作り出されるものです。
 まあ、これも結局は術者の能力が問われるのですが……
 その使い魔は、こちらの創造型になりますね。

 とはいえ創造型自体はそう珍しいものではありません、私たちだって使います。
 ここで問題になるのは、創造の『手段』です。
 何を媒体にして、どんな術式を用いるか――」

「――死霊術、か」

 レギウスの即答に、青髪の魔術師はただ頷く。

「し、死霊術だって……!?」

 状況が整理できず、カイルはレギウスの言葉を反復した。
 死霊術といえば生者と死者の境界を操る、人間としての倫理を越えた忌むべき魔術だ。
 生者であるステラに施されたとあってはさすがに冷静ではいられない。

「それは、人の血肉によって創られた――つまり、使ですよ。
 言うまでもありませんが、創造型で人の血肉を用いるのは重大な禁忌タブーです」

 その理由は言わずもがなである。
 聖北教会の教義に反する、なんて形式的なものではない。
 もっと根本的な、人として踏み外してはいけない道に背くからだ。

「普通は術者の魔力か魔力の篭った品を用いるものです。
 いたずらに強い力を込めて理を捻じ曲げる事にどういう意味があるのかと思いますけど……、人によってはそういった『素材』がひどく魅力的なようですね。
 それに、その使い魔は……、」

 青髪の魔術師が言いよどむ。

「どんな結果だろうが構わねェよ、俺たちには知る必要がある」

 レギウスの催促にも、青髪の魔術師はなおも言いよどんだ。
 ひとしきり唸った後、無理やり納得したように頷いた。

「まあ、他ならぬあなたがたですから。
 知らずにそれを連れ歩いているみたいですし……そうですね、知っておいたほうがいいでしょう」

 やがて意を決したようにレギウスと向き直った。

「先ほど人の血肉で創造された、と言いましたが……正確にはを元に創られています」

「………………」

「その様子だと、意味はお分かりでしょうか」

 レギウスは無言で返した。
 青髪の魔術師は他のメンバーのために、一言一言を噛み締めるようにして説明を加える。

「……死霊術は墓を荒らして死肉を用いる事が多いのですが、生きた血肉を使う事もあります。
 つまりは生きている人間を――」

「――っ!」

「……媒介は新鮮なほど良い。エネルギーが満ちている……、戯れ言ですよ」

 さすがにばつが悪くなったのか、青髪の魔術師はそう付け加える。

「まあ、その使い魔はかなりの力があると思います……
 そうに違いないのですがね?
 どういう訳か全然魔力が感じられないんですよね、それ」

「つまり?」

「つまり、普通の基準からすると……全く力を持っていないという事です」

「要は全くの役立たずって事か?」

「ええ、まあ……いやでもそんなはずはないんです。
 禁忌を犯してまでそんな役立たずを創る訳がありませんし……
 総合すれば、相当変わった使い魔だって事ですよ」

 役立たずを繰り返される度にステラはショックを受けている様子である。
 別にステラ自身が、ではなくリスの身体が、であるのでそこまで気に病む必要はないのだが。

「……何か、参考になりましたか?」

「あぁ、助かったぜ。……で、見返りだが」

「ちょ、ちょっと! せっかく格好良く決めたのにぃ!」

「要らねェのか?」

「まったく……見返りなら、もう十分です。珍しいものを見せて頂きました」

 取り繕うように青髪の魔術師はそう言った。
 ならばと「釣りの分で質問させてもらうがよ」とレギウスはぐいぐい押す。
 彼の前で余計な見栄は命取りである。

「パウラという魔術師に心当たりはあるか? 若葉通りに住んでいる婆さんだ」

「ああ、パウラさん? なんだ、お知り合いなんですか?」

「……最近ちょっとな。どんな魔術師だ」

「どんな、って塔のベテラン魔術師ですよ。うちの所属です。
 すっごく面白い方ですね。
 地位とか名誉とかに興味なくって、幹部に推薦されるほどの実力を持っているのに嫌がって引き受けないんですよ」

「へー、結構偉いひとなんだ?」

「何年もあれこれ理由をつけて逃げ回っているみたいですけど、そろそろヤキが回……いえ、引き受けさせられそうですよ」

「あはは、大変なんだね彼女も」

「研究も変わってますね、何しろ『美味しさを追求した魔法アイテム』ですから。
 味と安全を重視するから魔法アイテムとしてはほとんど使えないっていう本末転倒な代物ですよ。
 あ、でも子供が飲みやすい薬を医療ギルドと共同開発しているみたいです。
 研究って、思わないところで役立つものですね」

 結局はあまり有用な情報は得られなかった。
 とはいえ、パウラという魔術師に後ろ暗いところがないというのは収穫のひとつではある。
 これより後、手がかりの少ないレギウスにとっては彼女を頼るしか道が残されていないのだから。
 適当なところで話を切り上げ、『星を追う者たち』は賢者の塔から離れる事にした。

「それにしても酷い話ですよ、生きている人を使い魔にするなんて。
 その人の魂が、どうが安らかでありますように……」

 死んでもいないのに冥福を祈られたステラは、本日幾度目かのショックを受けた。


To Be Continued...  Next→
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周摩

Author:周摩
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