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第三二話:ロスウェル五月祭 神族の帆船編(1/2) 

 レストラン『ミストラル』は五月祭にあっても通常営業を貫いていた。
 量より質を重視し客単価を高める事で利益を出しているらしいこの店は、テーブル毎にパーティションで仕切られた個室が用意されている。
 最奥に通されたコヨーテとエッタは、注文した皿が運ばれてくるまでずっと無言だった。

「まずは食べてください」

 白い皿には鮮やかな緑色のハーブソースを使ったパスタがほこほこと湯気を立てている。
 若鶏のロスウェレーゼというロスウェル郷土料理であるそれは『ミストラル』でも人気らしく、二人はノータイムでそれに決めていた。
 本題は食事ではなかったとはいえ、実物を目の前にするとハーブとスパイスの醸し出す香気はコヨーテの食欲を刺激した。
 ハーブソースに絡め、パスタを口へ運ぶ。

「………………」

 予想以上に美味しい。
 若鶏のもも肉とソースが見事に調和し、臭みやパサつきなどの不快感はまったくない。
 ハーブソース自体は好みが分かれるかもしれないが合う人にはとことん合うだろう、そもそも郷土料理というのはそういう傾向にあるものだ。

 ちらりと向かいの席のエッタを見やると、彼女も小さな口を忙しなく動かして咀嚼している。
 料理に夢中のようで、こちらを一瞥もしない。
 どうにも食事を終えるまで話を始めるつもりはないらしい。

 エッタは冒険者としてではなく、半吸血鬼としてのコヨーテを探していた、と言った。
 コヨーテの知り合いで半吸血鬼である事を知っているのはごく小数であり、その全員が易々と秘密を漏らすような者たちではない。
 となれば『吸血鬼の組合』の関係者である可能性が非常に高く、昼間のヒラギの一件の直後ともなれば警戒せざるを得ない。

「ぼくは吸血鬼ではありません」
 
 料理を三割ほど残して、一息ついた後にエッタはそう切り出した。
 コヨーテが食事を終えるのを見計らったようなタイミングである。
 思えば、彼女が料理に夢中な風に装っていたのはコヨーテに食事を促すための演技だったのかもしれない。

「だったら何者なんだ。何故オレの事を知っている?」

「薄々感付かれているとは思いますが、『吸血鬼の組合』の関係者です。
 ラクスマン・クレヴァー様が擁する魔導研究室の室長を勤めております。
 これでも偉いんですよ?」

 初耳ではあったが、彼が昔から魔導学に長けていた事を知るコヨーテにとっては、力と地位を得た彼がそういった施設を手がける事はそう不思議に思わなかった。
 吸血鬼ではない人間を研究室に迎え入れるほどに『組合』には人手が足りないのだろうか、などと考えて、止める。
 今はそれどころではない。
 コヨーテは無言を返す事で話の先を促した。

「コヨーテさんの事はラクスマン様から聞きました。
 かの『不死の王ノーライフキング』たるアルフレド・アイランズのご子息であり、半吸血鬼ながらも『下等レッサー』の吸血鬼を、しかも独力で倒したとか」

「『下等』、だと?」

「昨年の聖誕祭の件です。確かパブロとかって名前の」

「……ラクスマンの奴め」

 昨年の聖誕祭、コヨーテは確かにパブロという名の吸血鬼と戦った。
 事前にラクスマンから『相手は「従者サーヴァント」』と情報を得ていたのだが、どうやら誤りだったらしい。
 『下等』と『従者』では知性に大きな差が出てしまう。
 相対した時点でやたらと饒舌だった事から予想はしていたが、まさか本当にラクスマンの見込み違いだったとは思わなかった。
 状況が状況ではあったが、命に関わる情報が不明瞭だったと聞かされてはいい気分はしない。

 更に言えば、コヨーテが半吸血鬼である事、父がアイランズである事を事も無げに明かしている事にも苛立ちを覚える。
 それを仲間に打ち明けるのにどれだけ苦悩し、どれだけの覚悟決めねばならなかったか、ラクスマンや目の前の少女は知る由もないだろう。

「……それで?」

「力を貸して頂きたいのです」

「君は半吸血鬼のオレを探していた、と言った。つまりは『冒険者に対する依頼』ではなく『「組合」からの命令』か?」

「少し、違います。確かにぼくは半吸血鬼のあなたの力をお借りしたいのですが、全てが『組合』の意思という訳ではありません」

 エッタは隣の椅子に置いていた大きな鞄から、一枚の羊皮紙を取り出してテーブルに広げた。
 どうやらそれはここ深緑都市ロスウェルの俯瞰図らしい。
 主要施設と周辺の山々には赤のインクで名称が書き添えられている。

「本日、とある吸血鬼が深緑都市ロスウェル全域に対して大型の魔具アーティファクトによる大規模な攻撃を行うつもりです」

 あまりにも突飛なその言葉に、コヨーテは返答を紡げなかった。
 ただ眉を顰めてエッタの言葉を待つ。

「……順を追って説明致します」

 再び鞄の中から今度は羊皮紙の束を取り出して、コヨーテへと差し出した。

「それは昨年の一一月に発生した『王族ロイヤル』粛清作戦の報告書の写しです。粛清の対象は、あなたが始末したパブロの『親』にあたります。名は『魔狼の証インセインハウンド』アイザック・グルージー」

「……『王族』?」

「ええ、もしかしてそちらもランクを誤魔化されていたのですか?」

 こちらはいくらなんでも誤報ではあるまい。
 作戦の報告書が作成されている時点であえてのランクを下げて知らせたのだろう。
 むやみに緊張感を与えない為、だったのだろうか。

「……ラクスマンからは禁忌を犯したと聞いているが」

「はい、アイザックは我々魔導研究室が研究・開発していた魔具を窃取した事で技術強奪の禁忌に触れました」

「魔具の窃盗? オレは『組合』の法には詳しくないが、何だか妙な感じだな。人間の法に近いというか」

「『組合』において『貴族』以上の吸血鬼の秘術は個人の財産であり、それを本人の無許可での窃取する事はすなわち血を奪う事であり、当然の規制として禁忌に指定されていました。
 しかし近年は技術面での吸血性の強化による新たな秘術の開発が推し進められている状況であり、それにより無血窃取であっても本人の無許可であれば技術に対しても同様に禁忌として制定されたのです。
 というのも、技術を用いた補強によって力を得て魔導研究室の礎を築いた『無限群集ランペイジ』ラクスマン・クレヴァーという前例があってこその法なのですけれどね」

「それはどうでもいい」

 思いがけない上司自慢が始まりそうな雰囲気を察知したコヨーテはすっぱりと切り捨て、

「何故アイザックは粛清されていない? 『組合』の追っ手はそんなに無能なのか?」

「報告書によれば寸でのところで身を隠されたとありますね。おそらく逃避行の最中に魔具を用いたのでしょう。彼が窃取した魔具『神族の帆船スキーズブラズニル』には副次的にそういった機能もありますから」

「……詳しく」

「原典は北欧神話。全ての神族を乗せ得るほどの巨大な魔法の帆船です。帆を張れば自動で風が吹くため動力要らずだとか言い伝えられていますが、最大の特徴として『折りたたむ』事が可能であり、容易に持ち運びができる点が挙げられます。具体的にはこれくらいにまで」

 そう言って、エッタは両手の中指と親指で輪を作るようにそれぞれくっつけた。
 下手すれば葡萄酒の瓶にすら隠せてしまそうなサイズである。

「『神族の帆船』に乗船した状態で折りたためば外界との繋がりが絶たれ、あらゆる『感知』魔法にも引っかかりません。
 問題は折りたたんだ状態では移動できない事と内部から船を起動及び展開できない事が挙げられますが、おそらく『魔狼の証』は手近な人間を【魅了】して操り、自身の乗った船の移動と逃げおおせた先での起動を指示したものと思われます」

「うん? 待て、アイザックは『組合』の追っ手を撒いたんだろう? だったらどうして君は奴がロスウェルを攻撃する事を知っているんだ」

「鴉による伝令で魔導研究室宛てに予告があったのです。『諸君らが心血を注いだ「神族の帆船」の威力を試させて頂く』と」

「逃げておきながらわざわざ予告だと? 訳が分からない」

「これはぼくの予想なのですが……おそらくはラクスマン様を味方につけたのではないかと。あの方は吸血鬼の『貴族』であるのと同時に研究者でもあります。一切手を汚さず試作段階である『神族の帆船』のデモンストレーションが行える、となれば粛清よりもデータ収集に力を入れるでしょうから……」

「あの馬鹿……!」

 軽い頭痛を覚え、コヨーテは頭を抱えた。
 ラクスマンはあくまでも吸血鬼の『貴族』である。
 半吸血鬼であるコヨーテと少なからず関わりを持っていたとはいえ、その考え方は人間を食糧としか思っていない他の吸血鬼と大差ない。

「……『神族の帆船』が街を攻撃したら、どうなる」

「『神族の帆船』は元々、人員や物資をスムーズに輸送するための魔具として開発が進められていました。しかし試作段階では必要な魔力が供給できなかったため、各所に魔力炉を増設してあります。それらを束ね、攻撃性を持たせた術式を組み込めば……おそらく、街の半分は容易に破壊できるでしょう。いえ、最悪の予想が当たってしまえば全壊もあり得ます」

「それをラクスマンは、『組合』は見逃すのか? そんな事をすれば人類との溝は深まるばかりだろうが!」

 思わず、コヨーテは声を荒げていた。
 エッタはびくりと身を震わせて、ばつが悪そうにうつむく。

「……実はそれだけではないそうです。この街には『組合』にとって危険な存在が入り込んでいるという噂が数日前から流れていまして……おそらく『それ』を排除できるのなら犠牲はやむなし、との判断なのでしょう」

「なんだよそれ……街ひとつと釣り合うだけの危険な存在……!?」

「噂ではという名の女吸血鬼だそうです。全吸血鬼に対して『組合』のトップが彼女との接触及び戦闘を全面的に禁じるほどですから、相当の力の持ち主なのでしょう」

 聞き覚えのありすぎる名前にコヨーテは絶句した。
 何しろ、ほんの少し前まで彼はヒラギと接触していたのだ。

「まさか、お知り合いですか?」

「あぁ……」

 不幸な事故により暴走した全力の『不死の王』ヒラギを鎮める羽目になったのだが、『組合』が危険視するほどの存在であるのは疑いようがない。
 彼女が力をコントロールできていないのは明白であり、一歩間違えればコヨーテが絶命するどころか街が消し飛んでいてもおかしくなかった。
 ヒラギには『組合』に従う意思どころかその存在自体を知らないだろうと考えると、なるほど危険視されても不思議ではない。
 逆に言えば彼女を味方につけられれば、『組合』の目的を削る事になる。

「彼女も狙われているのなら利害は一致する。ヒラギにも協力を仰ぐか?」

「えっ!? あ、いや、その……」

 ごにょごにょとエッタは口ごもる。
 明らかに挙動不審になって、身じろぎする度にずれる眼鏡を必死に戻している。

「何か不都合があるのか?」

「え、ええとですね……情けない話、今こうしてあなたとお話しているのも結構いっぱいいっぱいと言いますか……」

「? どうして?」

「だって、コヨーテさんも『組合』からヒラギさんと同様に接触・戦闘を禁じられているのですよ? 『組合』でもそれほどの扱いを受けている吸血鬼はあなたとヒラギさんをおいて知りません……で、ですから、その……」

「……なるほど分かった」

 要は怖がられているのだろう。
 『組合』直下の組織で活動している彼女にとっては『組合』こそが柱であり、たとえコヨーテが人間を守るために『組合』の吸血鬼と対立したとしても、彼女の正義は『組合』側にあるのだ。
 そんなコヨーテに加えて、ヒラギにも声をかけるとなるとさすがに気が引けてしまうのだろう。

 実際にヒラギを味方につけるとは言っても昼間のように彼女が再び暴走する可能性もある。
 そうなってしまえば今度こそ誰の命も保障できず、『組合』側に大義名分を与えかねない。
 あの無害ながらも楽天的な性格を考えると、無闇に接触を図って事態を激動させてしまうよりは、むしろ何も知らないまま注意を向けさせてもらったほうがいいのかもしれない。

「しかし、何か作戦はあるのか? 街ひとつを滅ぼしかねない兵器を相手にオレと君だけで真っ向勝負はさすがに無謀だぞ」

「もちろん、無策であなたに接触した訳ではありません。『神族の帆船』が本格的に起動してしまえばロスウェルは無傷では済まないでしょう。ゆえに、動く前に叩きます」

 エッタは三度鞄から資料を取り出した。
 今度は羊皮紙ではなく装丁された一冊の本である。

「『神族の帆船』の設計図及び仕様書です。お役立てください」

「……こんなもの渡されてもな」

 まるきり学がない訳ではないが、魔術や工学は門外漢だ。
 試しに数ページ捲って見るものの、専門用語と魔術的記号が満載で読めたものではない。
 独力での解読はそれなりに時間が必要だろう。

「『神族の帆船』が起動すると、最大で半径三〇〇〇メートルほどの帆船へと展開します。無論、一気に展開する訳ではなく時間経過で少しずつ膨張していくのですが、飛行に耐えうる強度であれば約一刻――三〇分――程度あれば到達できます」

「空を飛ばれたらオレには追う手立てはないが……」

「ぼくにもありません。ゆえに、『神族の帆船』が飛び立つ前に魔力炉あるいは機関部を破壊する必要があります」

「だったらこんなに悠長に構えていていいのか? 『神族の帆船』がいつ飛び立つのか分からないだろう!?」

 それには答えず、エッタはロスウェルの俯瞰図を指差した。
 ロスウェルの北に位置するヘントウ山、その中腹辺りには赤いインクで星印がつけられている。

「『神族の帆船』の所持者、アイザックはここにいます。今現在も監視術式を用いてその様子を窺っていますが、まったく動く気配がありません。『神族の帆船』も展開する様子すらなく、格納状態で手元に置いているみたいです」

「いつでも攻撃できるのに、動かない?」

「ええ、正確な時間帯までは予告されていないので、何か狙いがあるのかもしれません」

「……とにかくそこへ向かおう。奴が地上にいる内に手を尽くすべきだ」

「その前に、こちらを」

 エッタはテーブルへと小振りな赤い瓶を静かに置いた。
 過度な装飾のないそれは傷薬や聖水、ましてや香水などではありえない。

「報酬のつもりか?」

「いいえ、前金代わりです。これから『王族』と一戦交えようというのですから、補給くらいはと」

「……一応、受け取っておく」

 分かりました、と短く答え、エッタは席を立った。
 食事の時間を差し引いても相当に長居したはずであるが、『ミストラル』の店員は特に苦言を呈す事はなかった。
 個室にした事でこういった秘匿性の高い話をする際に用いられた事が何度かあるのかもしれない。

 ロスウェルにも治安を司る組織はもちろん存在するが、通報はやめておいた。
 どう頭をひねっても『吸血鬼の組合』の存在から説明しなくてはならず、その上、下手に大人数を動かして『魔狼の証』が動かない現状をいたずらに刺激してしまうのも気が引ける。

 『月歌を紡ぐ者たち』ならば、コヨーテが言葉を尽くせば納得してくれただろう。
 しかし、コヨーテはあえてそうしなかった。
 突如彼の元を訪れたエッタという少女を、先のやり取りだけで完全に信用する事ができなかったからだ。
 もし罠だったとしたら独り身のほうが何かと動きやすい。

 結局、コヨーテとエッタは二人だけでへントウ山を目指す事にした。



 すっかり日が沈み、世界が黒の闇に染まりきった頃、コヨーテは馬車に揺られながら未だ五月祭に沸くロスウェルの街の喧騒を聞いていた。
 ヘントウ山の麓まではエッタが用意した馬車を使えるとの事で、麓から目的地の中腹までは徒歩である事を考えると、体力の温存という意味でもありがたかった。

「なぁ、エッタ」

「はい?」

 その呼びかけに、御者を買って出たエッタは首だけで振り向いた。

「『魔狼の証』についての資料はこれだけか? これから一戦交えるかもしれないし、相手の情報がほしいんだ」

 コヨーテが示しているのは『王族』粛清作戦の報告書の写しである。
 粛清対象であるはずの『魔狼の証』については簡素に過ぎるプロフィールしか記されていない。
 もっとも、これはあくまで報告書であり、重要な情報は直接追っ手に伝えられているか、そもそも情報がなかったかのどちらかだろう。

「『魔狼の証』アイザック・グルージー。『組合』でも高ランクの『王族』であり、その実力は最強と名高い『六枚羽アマリリス』エコマ・ノーザンクロスに匹敵すると言われています」

「……エコマか」

「そう言えば、コヨーテさんは彼女とも戦った経験がお有りでしたね」

「あの時のあいつはまるきり手抜きだったけどな」

「ええ、彼女の代名詞である『六枚羽』どころか黒翼さえも使わずにレイピア一本で戦った、という事ですから。あなたの力を推し量ってたのでしょう」

「あいつに匹敵するとなればアイザックも一筋縄ではいかないだろうな……」

 あれだけの実力と殺気をぶつけておきながらちっとも本気でなかった、というのは悪い冗談のように思える。
 少なくとも当時のコヨーテは死を覚悟しなければそのまま殺されていたほどに実力差は明白だった。

「『魔狼の証』はその名が示す通り狼変化に特化した吸血鬼です。その詳細は不明ですが、黒狼の扱いについては『組合』でも最強に近いと言っても過言ではないかと」

 コヨーテも【天狼突破】による黒狼への変化は可能だが、半吸血鬼である彼は左腕でしか変化できない。
 その上、未だに【レーヴァティン】は手元になく代わりとして借りた剣は何の付与もない、ただの鋼である。
 吸血鬼に対抗するには乏しすぎる戦力と言わざるを得ない。

「しかしコヨーテさんにやっていただくのはあくまで『神族の帆船』の破壊ですから、それのみに集中していただければきっと上手くいきます!」

「作戦ねぇ……」

 エッタが提示した策は、作戦と読んでいいものか怪しいほどにシンプルだった。
 アイザックが所持する『神族の帆船』を進撃不可能なほどに破壊し、その後は即座にエッタの帰還術式で退避、その後は『組合』に向けて『神族の帆船』の破壊とアイザックの情報を渡す。
 少なくともラクスマンはこのロスウェル襲撃を把握しており、アイザックの追跡はすぐにでも始められるはずである。
 そうすれば今度こそ逃げ切れないはずだ。

「……ひとつ、聞いていいか」

「この期に及んで遠慮なんて必要ありませんよ。何なりとどうぞ」

「どうして、君はここまでするんだ。これらの書類は単なる研究員が自由に扱える内容じゃない。『組合』の法に詳しくないオレでも分かる。こんな資料、集めるどころか見るだけで比喩なしに首が飛ぶだろう」

「なんだ、そんな事ですか」

 命に関わる事態を、エッタは事も無げに『そんな事』と言い放った。

「この街は、ロスウェルはぼくの故郷です。帰るべき場所なのです。それが壊されるのを黙って見ているだなんて、できません……したくありません」

「……、」

「ぼくはぼくの街を守りたいから、到底敵わない『王族』相手にも戦うんです。部外者であるあなたの手を借りてでも、口八丁であなたを焚きつけて最前線に送り込んでまでも、ぼくはこの街を守りたい……馬鹿げていると思いますか? 卑怯だと思いますか?」

「……いいや、聞いてよかったよ」

「こんなもの、口八丁かもしれませんよ」

「それでもいいさ」

 それ以上言葉を交わす事なく、二人を乗せた馬車は山道を進み、やがて停まった。
 馬車が通れない山道を、今度は足で踏破する。

 今回の作戦は言うなれば奇襲である。
 わざわざ灯りを点して居場所を教えながら進む訳にもいかず、わずかな月明かりを頼りに進むエッタの歩みは遅い。
 吸血鬼は【夜目】の力を持っており、コヨーテは暗闇であっても昼間と同様に見渡す事ができる。

 夜は吸血鬼の領分である。
 コヨーテにできる事は、あちらにもできると考えたほうがいい。
 それでも、わずかにでも奇襲の成功率を上げるためならば努力を怠ってはいられなかった。

 半刻ほど歩いた後に、エッタが意図的に動きを止めた。
 地面にロスウェルの俯瞰図を広げ、その周りに自らの身体や鞄で壁を作る。
 ささやくような呪文詠唱の後、俯瞰図には二つの光が点った。

 どうやら監視術式と追尾術式の併合術式らしく、片方は事前に説明のあったアイザックの位置に赤い光が点っている。
 もう片方の青い光はそのすぐ傍で点っており、こちらはコヨーテの位置を示すものだろう。
 この俯瞰図の縮尺がどれほどかは分からない――そもそも正確であるかどうかすら分からない――ものの、限りなく接触の時が近づいているのは確かだ。

「破壊の成否に関わらず、離脱の判断はあなたにお任せします。たとえ失敗したとしても命があれば可能性はゼロではありませんから……合図があればすぐに帰還術式を起動できるよう準備しておきます」

「分かっ――」

 言いかけて、言葉を詰まらせた。
 俯瞰図の赤い光――アイザックの現在地――が急に動き出したからだ。
 縮尺こそ分からないものの、そのスピードが尋常ではない事だけは理解できる。
 こんな山の中を道に沿わず突っ切ってきているのだ。
 相手はこちらの位置を把握している事は疑いようがなかった。

「失敗だ……エッタ!」

「せっかくここまで来たのだ。会う前から帰り支度を済ませるなんて野暮な真似は止せ」

 コヨーテとエッタの間を、黒い影が通り過ぎていく。
 【夜目】の利くコヨーテでなければ視認できなかっただろうそれは、エッタの手からおそらくは離脱用のスクロールを奪って着地した。
 そちらへ向けて、コヨーテは振り向くより先に剣を抜き放った。
 エッタも同じくワンドを手に同じ方向へと視線を巡らせる。

 そこにあったのは巨大な黒い塊――否、夜色の毛並みの狼であった。
 一冊の本をその口にくわえた狼はニヤリと口角を吊り上げると、その身を震わせ、瞬時にして人型へと姿を変える。
 二メートルを越える長身の男が、金色の髪を月明かりにキラキラと輝かせている。

「『魔狼の証』アイザック!?」

「ふむ。自己紹介の要はなし、か。手早く済んで助かる」

 口元には余裕の笑みを湛えつつの、威風堂々とした声。
 逃げも隠れももはや必要ないと言いたいのか。

「では挨拶代わりだ、受け取れ」

 アイザックは軽く右手を横に一振りした。
 その軌跡がぐにゃりと歪み、何もないはずの空間に波紋が広がっていく。

「下がれエッタ!」

 邪な魔力を感じたコヨーテは叫び、剣を構えた。
 その一瞬後、空間より生じた裂け目から黒狼が次々に飛び出してきた。
 それらは唸り声をあげながら、矢のような速度でコヨーテへと迫る。

 速度で劣るコヨーテは無闇に剣を振り回すような真似はしない。
 一匹目の狼の下顎に剣の切っ先を向け、その勢いを利用して向こうから引き裂いてもらう。
 霧のように霧散する黒狼の下を這うようにして潜り抜けて二匹目の黒狼の鼻先を殴りつけ、三匹目の軌道に割り込むように殴り飛ばした。
 動きの鈍った隙をついた一閃により、二匹目の前足と三匹目の両目を浅く、しかし動けないように的確に切り裂いた。

「及第点だな」

 アイザックは余裕綽々の様子で更なる狼を呼び出していく。
 先ほどよりも速度で勝る狼であり、まるで力を推し量るような攻撃だった。
 狼をいくら倒したところでアイザックへの決定打とはならず、こんな余興じみた戦いにかかずらっていては埒が明かない。
 消耗戦ではこちらが圧倒的に不利だ。
 最後の一匹を切り伏せた後、コヨーテは一気に距離を詰める。

 それに対してアイザックはレスポンスで新たに三匹の狼を呼び出す。
 今度はあまりにも速い。
 無理に倒そうとすれば二匹目、三匹目の黒狼に身を食いちぎられていただろう。

 しかしタイミングを計って剣の腹を宛がえば、黒狼の勢いを逸らす事はできる。
 そして一度ついた勢いはなかなか止められないものだ。 
 いなされた黒狼は十数メートルの距離でようやく反転する。

「ほう」

 アイザックの感嘆するような声。
 最後の黒狼を弾いたところで、コヨーテはアイザックへと迫る。
 目的はあくまで『神族の帆船』の破壊である。

 エッタの話によれば『神族の帆船』は折りたためば葡萄酒の瓶ほどの大きさになるという。
 また、持ち運べるサイズの重要物をわざわざ別所に隠すというのも、仮にも追われる身である彼が行うには不自然だ。
 アイザックが黒狼となっても変化させられなかったあの本が『神族の帆船』である可能性は非常に高い。

 アイザックが再び黒狼を射出する隙も与えず接近したコヨーテは剣を振りかぶる。
 が、まるでその行動を予測していたとばかりに、アイザックは事もあろうにコヨーテへ向けて、緩やかに本を放り投げた。
 まるで殺意を感じないその行動に、コヨーテは一瞬その意図を測りかねた。

「――くっ!」

 してやられた、と察した時にはすでに遅い。

 あの本が『神族の帆船』である保証はどこにもない。
 最初からコヨーテがそう思い込むように演出した可能性のほうが高く思えるほどに、アイザックの表情には余裕が漂っている。
 あれは囮で、本に意識を向けた瞬間に黒狼に襲われる可能性だってあるのだ。

 選択肢は二つある。
 本が『神族の帆船』でないと判断して無視し、アイザックへの攻撃を優先するのがひとつ。
 こちらはリスクが少ない方法であり、判断が正しければ相手の目論見から外れられる。
 仮に本物だったとしても仕切りなおしになるだけで、ある意味では真贋を見極める方法とも取れる。

 もうひとつは本が『神族の帆船』であると判断して、その破壊を優先する選択である。
 本物であれば、破壊した時点でコヨーテとエッタの目的は果たす事ができる。
 アイザックの黒狼がいかに速いとはいえ、距離に差がありすぎる以上、後の先を取るのは不可能のはずだ。

 しかし、一方でリスクが高すぎる。
 もし囮だった場合、ほぼ確実にコヨーテは絶命するほどの一撃を受けるだろう。
 死なないだろう、と高をくくって楽観できる相手ではない。

「……はっ!」

 だとしても、コヨーテは笑った。
 何の付与もない鋼の剣では吸血鬼に対抗するだけの力がなく、アイザックへと立ち向かったところで勝つ見込みは限りなく低いとしても。
 粛清対象のアイザックが『神族の帆船』をわざわざその手から離して隠蔽するはずはなく、十中八九本物の『神族の帆船』がそこに無防備に在るとしても。
 そんな確率や推測なんて何の関係もなかった。
 ただ、コヨーテの直感が『本を斬れ』と告げていた。

 本を睨み付ける。
 興奮気味の頭が視野を先へ先へと送り込んでいるような錯覚を受けた。
 表紙の『神族の帆船』の文字や、その痛み具合まで見て取れる。

「え?」

 やがて、コヨーテの視界はまるで【夜目】を失ったかのように闇に染まった。

 (……ル、ナ……?)

 コヨーテの脳裏に浮かんだのはルナ・イクシリオンの顔であった。
 彼女の表情は暗く、目じりには涙さえ浮かべている。
 それを知覚した瞬間、コヨーテは背筋が凍るほどの嫌な予感に襲われた。

「――ッ黒狼ぉぉぉぉおおおおおおお!!!」

 すぐさま左腕を黒狼へと変換し、本へ向かって射出する。
 右手一本で剣を持ちなおして、『魔狼の証』からの攻撃に構えた。
 しかし、

「なかなかいい動きだ。だが最後の最後で恐れたな?」

 視界の端で、コヨーテの黒狼が巨大な狼と化したアイザックに蹴散らされている様子が見えた。
 そのまま自らが放った本を口にくわえ、コヨーテを無視するように跳んでいく。
 意識を外したのはほんの一瞬だったにも関わらず、それだけの芸当を成し遂げるだけの力が彼にはあったのだ。
 さっき感じた嫌な予感を無視して本を狙っていたとしても確実に競り勝てたかどうかは分からない。
 しかし、可能性はゼロではなかったはずだ。

「コヨーテさん、あれです! あれが『神族の帆船』の本体です!」

 エッタによって答えが導かれる。
 すなわち、コヨーテは選択を誤ったのだ。

「やれやれ、興ざめだよコヨーテ・エイムズ」

「何故オレの名を……!?」

「不思議ではあるまい。パブロを討ったのは貴様だろう? ならば我輩の『子』殺しだ」

「お前は……!」

 パブロは聖誕祭の日にルナの生家を襲い、彼女と彼女の叔父に怪我を負わせた吸血鬼だ。
 ふつふつと、コヨーテの心に怒りが沸きあがってきた。
 あの聖誕祭の事件で、ルナは心身ともに少なからず傷を負った。

 結果的にどちらも守る事はできたし、時間が経てばその傷も癒えるかもしれない。
 それでも傷は残る。
 なかった事になんてできやしない。

 それを、目の前の吸血鬼は千単位で行おうとしている。
 ロスウェルという街と、そこに住まう人々に向けて、暴力を振るおうとしている。

「お前は何のために『神族の帆船』なんて持ち出したんだ! その力を使って何をしようとしている!!」

「勘違いしてもらっては困るぞ少年。分かりやすい『暴力』を想像させられるものなら、別に『神族の帆船』でなくとも良かったのだ。元々は運搬用の魔具ゆえに多少なりとも認識に誤差が出るとは思っていたが……結果的には見事に釣られてくれたからな、我輩大満足である」

「……、何を、言っている?」

「我輩の狙いは貴様だ、少年よ。『街を破壊し人々を殺める計画がある』と貴様の耳に入れば何をおいても我輩を止めにくるだろうと予想していた。しかし、予想外とは起こるものよな。我輩はてっきり『無限群集』の奴が貴様を連れてくるだろう、と思っていたが」

 魔導研究室にわざわざ予告したのも、ラクスマンを通じてコヨーテを動かすためだった。
 だとすれば腑に落ちない点がある。
 コヨーテがパブロと接触したのはアイザックが事件を起こしたずっと後であり、時系列の矛盾が生じる。

「戯れ言を!」

「ところがそうでもない。忘れたか? 『組合』では貴様への接触・戦闘を禁じられているのだ。それほどに『組合』は貴様を危険視している、となれば我輩の興味が貴様に向いても不思議ではあるまい。……そもそもだ、我輩が何故『神族の帆船』を手に入れた後、わざわざリューンまで足を運んだと思っている。『神族の帆船』には追跡を撒くのに適した機能が備わっているのにも関わらずだ」

「……、」

「何故に各街々で一定の騒ぎを起こしつつリューンまで足を運んだか。そして何故追っ手を撒いたのがリューンを離れてからではならなかったのか。理解できたかね?」

 コヨーテは言葉を口にできなくなっていた。
 昨年の一一月からアイザックが起こした『神族の帆船』窃取事件、リューンでの吸血鬼パブロによるイクシリオン家襲撃事件、そして今回のロスウェル五月祭事件、それら全てがコヨーテ・エイムズを狙ったものだなんて、到底受け入れがたい。

「しかしだ、少年。貴様は我輩が思い描いていたよりもずっとずっとひ弱だったのだな」

 思い違いだった、そんな言葉で済まされるような事態じゃない。
 この日のこの時間の為にどれほどの人間が傷ついたのだろう。
 そう思うと吐き気すら覚えた。

「終わりにするかね少年」

 アイザックはさもつまらないといった風な表情で、

「幕を引くのではないぞ。

 宣言と共に、アイザックは右手を振るう。
 今度は狼の呼び出しではない。
 今まで切り伏せてきた狼たちが、コヨーテの背後でむくりと起き出した。

「『魔狼の証』たる我輩が生み出したる狼は単なる黒狼ではない、『魔狼』である」

「――くっ、そぉぉぉおおおお!!」

 怒りに任せて、コヨーテは剣を振り回した。
 身体を大きく切り裂かれた黒狼は湿っぽい音を発して地面へと沈む。
 続いて襲い掛かってきた黒狼も【鬼手捕縛】によって掴み、叩きつけた後に首を刈った。

「少年よ、もういいぞ? 今更気を張ったところで貴様に興味はない。とっとと舞台から降りるがいい」

「黙れ! お前はここで止める!」

 鋼の剣でいくら切り裂いたところで黒狼は死にはしない。
 故に、コヨーテが目指すのはただ一点。
 当初の予定と何ら変わりなく、『神族の帆船』だけである。

「――たとえ命に代えても!!」

 アイザックは一切表情を変えずに右手を振り、コヨーテは地を蹴った。
 今度の空間の歪みは規模が違う。
 コヨーテをすっぽりと覆うように、球形に展開された。
 まるで黒い霧のように周りを旋回する黒狼は、まるでイナゴの大群のような異様を感じさせる。

「ぐッ……!」

 数十もの裂け目から飛び出す黒狼はそれぞれが矢のような速度をもってコヨーテに襲い掛かった。
 剣を振るうも、いくら切り裂いたところで黒狼たちは止まらず、圧倒的に手が足りない。
 幾つもの切り傷を負い、たった一撃で全身が真っ赤に染まった。

 それでもコヨーテの歩みは止まらない。
 ただ一点、『神族の帆船』を目指して足を止める事はない。

 二撃目がコヨーテを襲う。
 右脚へ深々と牙を突きたてた黒狼を蹴り飛ばし、なおも進む。

 三撃目は殊更ひどかった。
 脚を負傷して動きが鈍ったからか、弾き飛ばされて地に伏した。
 吼えて、剣を杖代わりにして立ち上がる。
 血が目に入ったのか、視界が紅い。

「まだ、だ……まだ、オレは……!」

 血を流しすぎたのか、足元がふらつく。
 それでも一歩一歩踏みしめアイザックへと詰め寄る。

「負けて、いられるか……!!」

 懐から小振りな赤い瓶を取り、口でコルクを抜いて中身を飲み干す。
 真っ赤なそれは喉を通って身体に染み渡っていく。
 単なる血液ではなく、秘術を内包した血液である。

「ッ……あぁぁぁあああああああ!!」

 内側で暴れまわる熱に蹲るように身体を曲げた後、背中でその熱が弾ける。
 その瞬間、コヨーテの背中から漆黒の翼が飛び出した。
 【黒翼飛翔】という吸血鬼の組合の秘術である。

「――アイザック!!」

 血液の補給により身体の傷は少し癒え、行動にも多少の余裕ができた。
 剣を握りなおし、不慣れながらも確かにその背の翼を動かし、空気を叩く。
 強烈な推進力を得たコヨーテはその勢いのままに滑空するようにアイザックへ肉薄する。

「その程度の児戯でどうにかなると思っていたかね?」

 再び背後からの魔狼の襲撃。
 コヨーテはそちらを一瞥もせずにただ翼を動かして更に前へと進む事でやり過ごす。
 たとえ攻撃を受けても背後は黒翼による防御が利く。
 【黒翼飛翔】は行動を補佐し、時には盾となる秘術である。
 こと戦闘においては強烈なブーストとなり得る力だ。

 次々に襲い来る魔狼を、コヨーテは剣でもって切り裂き、いなしていく。
 翼があってもぶっつけ本番で飛行できるほどコヨーテは器用ではない。
 このまま最短距離を突き進んで『神族の帆船』を奪い去る、その事だけに集中すればいい。

「……ふむ、いい加減にするがいい」

 アイザックの呆れたような声と共に、まるで壁を作るように魔狼が密集して飛び掛ってきた。
 しかし翼を得たコヨーテにとってこの程度は障害にすらならない。
 狙うべきは一点のみ。
 刃を正確に一匹にのみ突き入れ、まるで輪をくぐるようにその隙間を飛びぬけていく。

 が、

「仕置きである」

 がくん、と高度が落ち、地面に脚がついてしまう。
 必死に踏ん張って体勢を維持するも、それでも止まらずに剣を地面に突き立てて急ブレーキをかけた。

 ただの一撃で、右の翼が根元から消し飛ばされた。
 失速はそれが原因だろう。

 しかしコヨーテは魔狼の壁をくぐる一瞬前に、視界の端にアイザックの影を捉えていた。
 すぐさま反転し、剣による一閃を加える。

 ガィィィン!! という激しい金属音。
 コヨーテの剣は、その中ほどから真っ二つに折れていた。

「……!!」

 アイザックの手に握られているのは月明かりを鈍く反射する黒の剣。
 触れずとも分かるその威容はコヨーテの持つ【レーヴァティン】と同じく、のように見えた。
 役目を成さなくなった剣を手に、コヨーテは硬直する。

 アイザックの黒い剣からは、明確な『死』を連想させた。

「アイザック……!」

「目障りだ」

 アイザックは静かに言い放つ。
 腹に激しい熱を感じるのと同時に、コヨーテの両足から力が抜けていくのが分かった。
 支えきれずに両膝を突いたコヨーテは、落ちた視線の先に黒い刃と紅い液体が、見えて、

「自らの無力を噛み締めるがいい」

 コヨーテの胴に突き立てた黒い剣を引き抜くと、鮮血が舞った。


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周摩

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