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第三五話:『Criss×Cross(後編)』(4/7) 

(五月二六日 二〇時〇四分 交易都市リューン・西通り)

 ミリア率いる『月歌を紡ぐ者たち』がリューンの街に辿り着いたのはとっぷりと日が暮れた頃だった。
 多少の休憩を挟んだとはいえほぼ丸一日を歩き詰めだった事もあり、皆一様に疲れきっている。
 誰もが口には出さなかったが、やはりどうせならベッドで眠りたかったのだ。

 だが、

「どうしてこうなるのかしらねぇ」

 いかにも面倒くさいといった口調でミリアは双剣を引き抜いた。
 これから半刻も歩けば宿に辿り着けるというのに、厄介事はこういう時に限ってこちらへやってくる。

 厄介事とはミリアの背後で震える少女のことではない。
 その少女を追っていた異常なハイテンションの不審者のほうである。
 唐突に助けを求められ、盾にされてしまったミリアは深くため息をついた。

「とーとー追い詰めたぜ嬢ちゃん~! うぉれってすげえじゃん~!!!」

「やめてよね。変質者の相手してるほど元気じゃないのよ、私」

 ただでさえカスミアン廃鉱山からの帰路である。
 一刻も早く柔らかくなくてもいいからベッドに横になりたい気分だ。

「あ~れうぉれさまのジャマをするのかなぁああ~~? 痛い目に遭わせちゃうもんね~!」

「なっ……!」

 ミリアは自身の肩を掴んできた不審者の腕を振り払えず、そのまま投げ飛ばされてしまった。
 数々の修羅場をくぐりぬけてきたミリアがそこらのチンピラまがいの不審者に手玉に取られるなど信じがたいことだ。

「何よこの馬鹿力……こいつ、ただのチンピラじゃない!」

 不審者はよだれを撒き散らしながら咆哮する。
 叫び声はやがて笑い声となり、焦点の合わない両目をぐるぐると回してミリアたちを見据えた。

「うぉれさまムテキだもんねぇえ! 力に満ち溢れてるんだもんね~!!」

「……何だってんだ、こいつァ」

 バリーは絶句した。
 やつれ気味だった不審者の身体がどんどん膨らんでいく。
 わずかも経たないうちに不審者の姿は別人のように変わり果てた。

「魔力は感じねぇ……こりゃあ魔法じゃねぇぞ!」

「はあっ!? ま、まぁとりあえず倒しちゃおうぜ、証人がいるし正当防衛は確実だから大丈夫!」

「そりゃ安心ね!」

 双剣を抜かずにミリアは不審者に飛び掛かった。
 低い体勢からの足元を狙った蹴りを叩き込む。
 あれだけ急激に筋肉が膨張して即座に対応できる人間など存在しない。
 常に爪先立ちでいるようなものだ。

「ぎぃやははっはっはっはっはは!!」

 不審者は丸太のように膨れ上がった腕を振り回して応戦する。
 女性とはいえ長身のミリアを軽々と放り投げるその膂力に捕まってしまうのはひどくまずい。
 ゆえにミリアは回避を主とした戦いに重点を置いた。

「こんのっ!」

 掴み掛かってくる手に、ミリアは空き瓶を握らせた。
 先ほど投げ飛ばされた時に打ち捨てられていた酒瓶を失敬していたのだ。
 即座に反転して回し蹴りを瓶に叩きつける。
 鉄板が仕込まれた靴底は瓶を粉々に砕き、その破片は不審者の手をずたずたに裂いた。

「あぎゃあぁっ!?」

 一瞬怯んだ隙を狙い、ミリアのコンビネーションが炸裂する。
 ミリアの場合は拳ではなく左右から繰り出される回し蹴りだ。
 しっかりと大地を踏みしめていないため威力はさほどでもないが、ミリアの狙いは脳震盪だ。
 いくら身体を筋肉の鎧で守っていたとしても、脳だけは鍛えることができない。

「だあっ!」

 ふらついた不審者の頭頂部に渾身のネリチャギを喰らわせて、ミリアはようやく一息ついた。
 数にして十三撃。
 それだけの蹴りを叩き込まれた不審者は血液混じりの胃液を撒き散らしながら倒れ伏した。

「お疲れミリア」

「はぁ、まったく。やっぱり疲れてるのかしらね。何でこんなのに一〇発以上も使わなきゃならないのよ」

 そうは言いつつも、ミリアの呼吸は一切乱れていない。

「で、こいつどうする? 手足縛って放置しておく?」

「そこまでやるんなら自警団にでも通報すればいいと思うけど……」

 言いかけたレンツォの言葉が途中で断たれる。
 原因は倒した不審者の異常。
 雄叫びをあげながら両手で胸を押さえて暴れだした。

「な、何だああうぉれのから、からからからからだがああああ!!!」

 不審者の中で生き物が暴れているように身体が波打ち、みるみる膨れ上がっていく。
 一瞬後に起こるだろう惨状を察知した冒険者たちはすぐさま目を背けた。

「ぎゃああぁあぁあぁああああああああああああああ――っ!!」

 長い断末魔は唐突に途切れた。
 元の三倍ほどに膨れ上がった不審者の身体は内側から張り裂け、おびただしい量の血液を撒き散らして動かなくなる。
 咄嗟に少女の目を隠したのは正解だった。
 表の世界を歩む一般人には一生お目にかかれないほどの赤い惨劇だ。

「惨い……」

 改めて遺体を確認したレンツォが絶句するほどだった。

「ねぇ、大丈夫?」

 なるべく遺体を見せないようにしながら、ミリアは少女に問う。
 少女は唇をかたく結んで何かに耐えているようにも見える。
 やがて口を開いた少女の声は細く、震えていた。

「……助けてくれて、ありがとう。礼は言っておくわ」

「気にしないでいいわよ」

「それじゃ、私はこれで。ちょっと急いでるの」

「おっと待ちなさい。ひょっとしてこれってあんたのものじゃない?」

 その場を後にしようとする少女を引きとめ、ミリアは昨日の昼間に拾った手帳を掲げる。

「これ、私の学生手帳!」

「やっぱりね。どっかで見た顔だと思ったわよ、ミア・アーツェンちゃん?」

 名を呼ばれた少女、ミアの表情があからさまに変わった。
 驚愕と焦り、そして警戒の色だ。

「……あなたたち、ただ手帳を返すためだけに私を探してたんじゃなさそうね。事件の関係者なの?」

「まぁ、そうなっちゃうわね。ただし、あんたの味方だけど」

「……?」

「エル、って知ってるわよね? あんたのルームメイトを捜す依頼を請けているのよ」

「エルの……! そう、エドガーさんの依頼ね」

「分かるの?」

「あの人、度を越したシスコンだもの。エルがいなくて慌てたのね」

 思わず納得してしまうミリアたちだった。

「なるほど、あなたたちはエルが私と一緒に殺人事件を追っているって思ったんだ? でも残念。確かにエルは私に協力してくれてはいるけど、私は彼女が今どこにいるのかはまったく知らないのよ」

「それは?」

「彼女は今、仲間と一緒に麻薬の調査をしているのよ。ラインの件はそのついでってトコ。ラインの死因が麻薬の大量投与って事は疑いようもないから関わりはあるはずだ……ってね」

「なるほどねぇ」

「……ホントはね、私はこの件に首を突っ込むなって言われたのよ。エルから。荒事に慣れてる人ならともかく普通の学生の私にこういう世界は厳しすぎる、って」

 でもね、とミアは俯き気味に続ける。

「私も何か彼のためにしてあげたかったんだ。このままただの麻薬中毒者って処理させたくなかったの」

「麻薬? 確か生徒の不審死は……」

「一応、ラインの死は名目上は不審死ってことになってるけど、警察は殺人じゃなくてラインが麻薬中毒者だったって証拠ばかり集めようとしてる……でも、絶対違う。ラインは中毒者なんかじゃない。だから……許せなくて」

「ねぇねぇ、もしかして麻薬ってこれ?」

 さっきまで気配を消していたレンツォが不意に現れて言った。
 その手には薬と思しき粉末が薄い紙の上に載せられている。
 そしてもう片方の手には血のついた手袋が握られていた。

「あの中毒者の懐を漁ったら出てきたんだ。きっとこれが件の麻薬なんじゃないかな?」

「お前、よくあんなグチャグチャな死体からモノなんざ漁れンなぁ」

「まぁ、必要な事だし? それよりミアさん。彼氏さんの死体からはこんな薬は見つかってたの?」

「いえ……薬は見つからなかったわ。その代わり、こんなものが」

 ミアが取り出したのは羊皮紙に包まれたキノコだった。
 よくある形ではなく、やたらと曲がりくねっている傘が特徴的なこのキノコには見覚えがあった。

「そいつぁ……【龍舞茸】じゃねぇか。おいおい、一気にきな臭くなりやがった」

「きっとこのキノコに彼が殺された原因があるに違いないって思って、私はこのキノコの流通を調べたの。それでね、このキノコはまず取引される事はない猛毒のキノコだって分かって、他のよく似たキノコに混ぜられてあそこの店に運び込まれていた……って事が分かったの」

 そう言ってミアが指差した先は一軒のレストランだった。

「あそこって『ランダーズ』だよね。最近、評判いいって噂の」

「びっくりしたわ……あそこはラインがアルバイトしてた店なの。私も何度か足を運んだわ。だから、あのレストランをいろいろ調べていたんだけどとうとう気づかれたらしくって。さっきの中毒者に追われてたとこをあなたたちに助けられたってワケなのよ」

「レストランとこの中毒者の繋がりはハッキリしてるの?」

「それは……証明できないけど」

「まぁいい。とにかくあのレストランが怪しいってのは分かったんだ。調査しねぇ手はねぇだろォな」

「でもさ、調査するなら早めに動いたほうがいいよ。ミアさんが嗅ぎまわっていた事はもう知られてるんだし」

「当然だ。すぐに警察にタレコミに行くぞ。何しろこっちにはあのレストランが麻薬密売に関わってやがる証拠があるんだからなぁ」

 バリーが指しているのはミアの持つ【龍舞茸】だ。
 故意であれ過失であれ、レストランの食材として猛毒の【龍舞茸】が運び込まれていたとあれば、警察も真実を知るために動かざるを得ないだろう。

「【龍舞茸】の中毒症状はあの中毒者の死に方によく似てやがる。おそらく【龍舞茸】は麻薬の原料に使われ、レストランはさながら麻薬の精製場になってるんじゃねぇか」

「まさか、ラインはその事を知って……!?」

「可能性は高いな」

「……、」

「いったん考えをまとめようぜ。これ以上立ち話もなんだし、宿に戻るか」

「ねえ、それならエドガーさんが今滞在してるところに行きたいわ。私から彼に事情を説明したいの」

「ん、分かったわ」

 ぐちゃぐちゃの中毒者の遺体を置いて、ミリアたちはその場を後にした。



(五月二六日 二〇時五〇分 交易都市リューン・北通り・銀の翼竜亭)

 行商人エドガーは固く閉じていた目を開いた。
 予想していた展開でも悪い部類の予想が的中してしまったのだ。

「なるほど……どうやらこの脅迫状が純粋な悪戯という可能性はなくなったようだな」

 ミア・アーツェンが伝えたこれまでの経緯が導き出したのはその答えだった。
 依頼人には不幸な事ではあるが、事態が進展しているのは間違いない。
 なお、ミアはエルが麻薬の調査をしていた事については口を噤んだ。
 そんな事実を教えてしまってはエドガーの精神が振り切れてしまうとの判断らしいが、とても英断である。

「それで、肝心のエルが捕らえられている場所だが、心当たりはあるのか?」

「最も可能性が高いのは身代金の受け渡し場所に指定されたカスミアン廃鉱山だろォな。次に考えられるのが麻薬売買組織の拠点と思しきレストラン『ランダーズ』」

「攻めるならどっちよ」

「手近なほうでいいだろ」

 まるでいい加減な風にも聞こえる言葉だったが、バリーが考えなしに発言するはずがない。
 カスミアン廃鉱山を調査して判明した『犯人グループはエドガーの命を狙っている事実』を鑑みれば、災いの種は刈り取っておかねばならない。
 本来であれば麻薬売買組織と接触したミアとエドガーを近づける事すら避けたかったのだが。

「調べていて分かったんだけどあのレストラン、リューンのお偉いさんとかも結構利用してる、言わば政府御用達の店なのよ。これ以上の事を調べるにはこのキノコと麻薬との関係をもっとはっきりさせないとまずいかも……」

「――キノコ?」

 明らかな反応を見せたのはエドガーと同席していた青髪の女性だった。
 エルズと紹介されたこの女性は傭兵家業をしているらしく、リューンからアレリウスに戻る際のエドガーの護衛を請け負っているらしい。
 今回の誘拐事件に関わる事はないと思っていただけに、彼女の反応はやけに気にかかった。

「エルズ? どうしたんだ?」

「ミア」

 ミリアに促され、ミアは鞄から羊皮紙に包まれたキノコをテーブルに置く。
 それを手に取ってじっくりと観察したエルズは息を呑んだ。

「……間違いない、【龍舞茸】だ。まさか本当にリューンに持ち込まれていただなんて」

「へぇ、その様子じゃ何か知ってるんだね?」

「ああ……、どうやら予想以上に深刻な事態になってるみたいだ」

 エルズは【龍舞茸】をテーブルに置いて、姿勢を正した。

「最初に結論を言っておこう。このキノコが近頃リューンで流行してる麻薬の原料だ」

「証明できンのか?」

「……、」

 返答の代わりにエルズが差し出したのは数枚の羊皮紙の束だ。

「ちょっとした薬の精製法さ。主原料がそのキノコのね。麻薬そのものってワケにゃいかねぇが……おそらく似たような効果が得られるものができるハズさ」

「待てよ。どうしてお前が麻薬の原料だとか精製法だとかを知ってやがンだ」

「……今は説明する時間がない。虫のいい話だとは思うが、どうかアタイを信じてほしい」

「真偽はどうあれ、警察を動かすのには使えそうだな」

 信用はできねぇが、とバリーは最後に付け加えた。

「いや。今はそれでもいい、行きな。これ以上被害が広がらないうちに」



(五月二六日 二三時五九分 交易都市リューン・リューン市警)

 リューン市警を訪ねたミリアたち『月歌を紡ぐ者たち』とミア・アーツェンは薬物流通事件について通報した。
 すっかり夜の帳が降りていたにも関わらず警察の対応は素早く、【龍舞茸】とレシピは即座に調査に回される事になった。
 応接室に通されたミリアたちはそれからずっと待たされている。

「――すまんすまん。待たせてしまったな」

 いい加減に痺れを切らした頃になってようやく担当の警察官が戻ってきた。
 その手には件の【龍舞茸】とレシピの他に調査結果と思しき書類が握られている。

「実験の結果、このキノコが麻薬の主原料である事に間違いないと判断されたよ。そして『ランダーズ』にこのキノコが運び込まれている事も従業員の一人の証言で裏が取れた」

「じゃあ……」

「信じたくはないがレストラン『ランダーズ』が麻薬密売と何らかの関わりを持っている事は間違いないようだ。夜が明け次第、我々はレストランの強制調査に踏み切り、確固たる証拠を掴む事にした」

 だが、と警察官は続ける。

「あそこはリューン上層部御用達の店。これだけの証拠ではまだ動きが取りづらい。そこで、諸君らにあの店における麻薬の原料の使用用途の調査を依頼したいのだが、いかがかね?」

「依頼かぁ……」

「もちろん、諸君らが他の依頼を請けている真っ最中だという事は知っている。だが話を聞く限り、我々の依頼は諸君らに優位に働くと思うのだが」

「まぁね。こっちとしても乗り込みたいとは思ってたし」

「ありがとう。……しかし、君たちは確か『大いなる日輪亭』の『月歌を紡ぐ者たち』だったな」

「そうよ? ま、二名ほどメンバーが足りないけどね」

「聞くところによるとリューンの中でもそれなりに実力と実績のある冒険者らしいが……うーむ、やはり冒険者はきちんと実力を己の目で確かめてから依頼をすべきなのだな」

「?」

 ミリアが首を傾げると、警察官は慌てて咳払いした。

「いや、実は数日前に都合で人員を割けなかった仕事をとある冒険者に依頼したのだよ。とある廃鉱の調査だった。簡単な依頼だと我々も彼女らも考えていたよ……三日もあれば片付くはずだったのだが、彼女らはついに帰ってこなかった」

「まさか……、その廃鉱ってのはカスミアン廃鉱山じゃねぇか?」

「ん? そうだが……」

「その依頼を請けた冒険者の中に、金髪で茶色い瞳の女がいなかったか?」

「確かリーダーらしい女性がそんな容貌だったな……何か、心当たりが?」

 バリーは一瞬だけ言葉を詰まらせた。
 わずかな思考の後、口を開く。

「確かあんた、よく知らねぇ冒険者に依頼を出したって言ったな? どうしてそうなった。そいつらに依頼すると決めたのはどうしてだ」

「人に薦められたからだ。なかなか腕の立つ者たちだと……、っ!?」

「あ?」

「しっ、しまったあああああ!! そういう事だったのか!!!」

 突然の絶叫にさすがのバリーも少し引きながら、怪訝な表情で続きを待った。

「私にその冒険者たちの事を教えたのは『ランダーズ』のシェフ、カルロス殿だ! 『ランダーズ』が麻薬売買と関わりを持っている以上、彼が無関係であるとは考えられん! くそぅ……つまりあの冒険者も麻薬密売組織とグルだったという事かあああ!!」

「落ち着けよ。ちなみにその冒険者たちに依頼した内容は?」

「はぁ、はぁ……リューンで件の麻薬が流行し始めた頃、その廃鉱山で不審な人影が目撃され始めたのだ。麻薬密売組織のアジトになっているのではないかと考え、調査を依頼したのだが……」

「あぁ、なるほど。とりあえず安心しろ。そいつらは麻薬密売とは直接の関係はねぇ。もし関係者だったら何食わぬ顔をして『麻薬とは関係なかった』って報告すりゃいい話だからな」

「そう。彼女たちも犠牲者よ」

「……そ、そうか」

 警察官は納得した様子で椅子に腰掛けた。
 頭が固いというかまじめすぎるというか、ともかく正義感の強い人なのは間違いないだろう。

「情報は大体出揃ったな。纏めるぞ」

「お、待ってました!」

「まず依頼人の妹エルは警察から依頼を請けて仲間の冒険者と共に廃鉱山へ向かった。しかし、その依頼は何者か、おそらくは麻薬密売の関係者によって仕組まれた罠だった。犯人の思惑通りエルは捕らえられ、仲間も無事じゃねぇだろォな……ミア、一応確認しておくが、エルが学校をサボってやっていた事は冒険者に違いないな?」

「ええ、彼女は仲間と一緒に冒険者をしていたわ。もちろんエドガーさんには内緒で。でも、私が知ってるのはその程度よ。拠点の宿や役割までは知らないわ」

「構わねぇよ。ひとまず、エルがレストランに捕らえられている可能性はかなり低い。が、廃鉱山をもう一度往復するのは外れだった場合のリスクがでかすぎる」

「って事はやっぱりレストランからね」

「ああ、上手く行きゃあ犯人たちの正体や明確な目的が分かるかも知れねぇからな」

 やる事は決まった。
 もしエルがレストランに捕らえられているとしても、忍び込むなら夜間がいい。
 そして廃鉱山へ向かう事も考えると行動は早いほうが絶対にいい。

「ミアはここで保護してもらいなさい。あなたは狙われているんだから、少なくとも麻薬密売組織の件が落ち着くまではね」

「分かった……がんばってね」

「ん、任せなさい」

 胸を張って答えたミリアは仲間たちを一瞥する。

「行くわよ!」


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周摩

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