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PC6:レンツォ 

 そこは交易都市リューン。時は夕刻。
 コヨーテらは一時的に路地裏に身を隠していた。

「さっきはありがとう、助かったよ」

「気にしないで。困ったときはお互い様よ……それよりも」

 彼女は再びフードを目深に被り、エルフ特有の尖った耳を隠してしまった。
 そしてコヨーテの腰の剣を見やり、彼女は口を開く。

「貴方、冒険者よね?」

 確かめるようなその言葉に、コヨーテは頷くことで返す。

「『大いなる日輪亭』の冒険者だ。とは言っても、冒険者として登録したのはつい昨日だがな……」

 『昨日』という言葉に、彼女が反応する。

「ふうん。もしかして、仲間探しの最中?」

「……ん。まぁ、な」

 先ほどのチンピラとの戦闘で、コヨーテは彼女の実力の片鱗を見た。
 コヨーテが求めていた戦士の資質を、ミリアは充分に持っているのだ。
 彼女さえ良ければ、是非とも仲間に加えたいと考えていた。

「それなら、私と組むつもりはない?」

 それはコヨーテにとって願ってもない言葉だった。
 だが、独断での決定はできない。
 彼には既に仲間が居るのだ。

「悪いが、オレ一人での決定はできない。
 宿に仲間がいるはずだから合流してから考えたいが、いいかな?」

 とはいえ、仲間たちが断るとは思っていない。
 ミリアの実力は申し分なく、人当たりの良さそうな笑顔をみると、誰とでもやっていける気がする。

 唯一の懸念である種族の違いだが、これも問題ないはずだ。
 付き合いは長くないし、そんなに話したこともない仲間たちだが、他の種族を差別するような人間ではないはずだ。

「勿論よ。他にも組んでいる人が居るなら、私も見てみたいわ」

「助かるよ。それじゃ、宿に行こう」

 コヨーテが路地を歩き出すと、ミリアも頷いてその背を追う。
 狭くごちゃごちゃした路地をすいすいと進むコヨーテの脚は早い。
 もう何回も通った慣れからくるものだが、ミリアはそれに引き離されることなく着いてきた。

「ところでコヨーテ、貴方の仲間は今何人なの?」

「オレも含めて四人だ。魔術師、僧侶も一人ずついる」

「魔術師と僧侶かぁ、いいわね。私は剣しか使えないから」

「そうか? さっきの喧嘩、随分と手馴れていたようだけど。体術もいけるんじゃないのか」

「あら、あの程度は護身術よ。非力でも暴漢を倒せる程度に身を守れないと、泣き寝入りする女性の方が多いのよ。今の時代ね」

「へぇ、それはいい。
 さっきチンピラに襲われていた女の子、アンナって名前なんだけど、彼女にも教えて貰いたいね」

「いいわよ。何なら、コヨーテも打ち倒すくらいに鍛えてあげましょうか?」

「ハハ、それは勘弁してくれ」

 誤魔化すように(しかし割りと本気で)、コヨーテは乾いた笑いで返す。
 アンナは宿の親父の娘であり、宿の親父は若い頃バリバリの冒険者だった。
 その血を継いでいるであろう娘さんなら、冒険者を打ち倒す様を想像するのは難しくなかったのだ。

「まぁ、剣が使えたって喧嘩が強くたって、それは戦士の限界じゃない?
 戦士は魔術師のように炎の玉を撃ち出したり、僧侶のように傷を癒したりできない。
 戦士は戦士として、前線に出て戦うしかできない。
 それなら剣を使おうが拳を使おうが、結局のところ同じだと思うけどね」

「ばっさりと言ったらそうなるけどな。
 これは戦士じゃなくて冒険者全体に言えることなんだけど、やっぱり臨機応変に戦うってのは大事だよ。
 特に前線で戦う戦士は、その手の環境の変化というものを最も受けやすいからな。

 オレも剣一本だけで戦おうなんて考えていないから、徒手でもある程度戦えるように鍛えてる。
 狭い路地裏で戦うなら、槍よりナイフの方が有利なようにね。
 唯一の武器が壊れたから相手を倒せませんでした、じゃ間抜けすぎると思わないか?」

 武器――戦う術――は多い方がいい、とコヨーテは考えている。
 だが、ただ増やせばいいってものではない。
 一つの武器に対する習熟度が低くては、実戦では役には立たないだろう。

 コヨーテが考えるに、武器は多くても二つが限界だ。
 手は二本しかないのだから、当然といえば当然である。
 その他の武器を持っていても、荷物になるだけだ。

 コヨーテが使う剣は両手で持たなければ扱いにくいロングソードだ。
 常人なら扱いにくい程度では済まないのだろうが、コヨーテは片手でも振り回せる。
 かといって両手に剣を持って戦えるほど器用でもないから、剣はこれ一つと決めている。

 武器なら何でも良かったわけでもない。
 コヨーテはナイフや槍、弓矢や斧といった武器を、手にとって使ったことはある。
 しかしどれもこれもコヨーテには向かなかった。
 結局、シンプルかつポピュラーなロングソードを使っているに過ぎない。

「それには同感だわ。
 今時の、騎士道を気取った奴らに聞かせてやりたいわね」

「全くだ」

 コヨーテも、『騎士道』というのは好かなかった。
 リューンにも時折居るのだ、頭の固い騎士道気取りの戦士というものが。
 そういう奴らに限って『礼節』だとか『型』だとかを重要視して、それを守らない人間を非難する。

 例えば、川を渡ろうとして橋が壊れていれば当然迂回するか、立ち止まって復旧を待つ。
 そのまま川を泳いで渡ろうとする者は少ないだろう。
 実戦ではイレギュラーなんて当たり前のように起こる。
 そこで別の解決法を見つけるか、いつも通りの方法をとるか、どちらが賢いかは言うまでもない。

 その点で、このミリアという女性、いや『戦士』は理解している。
 背後から攻撃することが、飛び道具で攻撃することが、全く卑怯ではないことを。
 それらもまた、戦場でのイレギュラーに過ぎないのだから。

「さて、着いたよ」

 そんなことを話しながら歩いていると、コヨーテらは見慣れた宿へ辿り着いた。



「これ、どういう状況だよ?」

 コヨーテが訝しげに、カウンターに背を向けて座るバリーに尋ねる。
 バリーもバリーで、呆れ顔で首を横に振った。

 いくつかある大人数用のテーブル、その一つにいかにも柄の悪い男たちが四名座っている。
 その顔ぶれが、どう見ても先ほどコヨーテとミリアがボコボコにしたチンピラたちだ。
 一人だけ、さっきの騒ぎにはいなかった男が口を開く。

「来たか。あんただろ、こいつらをぶちのめした冒険者ってのは」

 男は不敵な笑みを浮かべ、コヨーテを睨むように見つめる。
 コヨーテは一目見て、こいつはただのチンピラではなく本物の盗賊だということを理解した。

 全体的に暗色を基調とした色使いの服を着ていて、腰周りには大量の皮袋やポケットがついている。
 どうやらそれは初めからついていたものではなさそうだ。
 分かりやすく剣を所持しているよりも、危険なニオイがする。

「そいつらには言っておいたはずだがな。
 オレたちの前に二度と姿を現すな、と」

 コヨーテがそちらを睨むと、チンピラたちは情けない声を上げて目を伏せた。
 それに呼応するように、男は立ち上がる。

「話はこいつらから全て聞いた。
 甚だ遅いとは思うが、謝らせてくれ。
 ……済まなかった」

 あろうことか、男が頭を下げた。
 その様子を見たチンピラたちも、同様に頭を下げる。

「こいつらは僕の部下でもなんでもない。
 だけど、同じ場所で育った仲間なんだ。
 人に迷惑を掛けることしか知らない馬鹿の集まりだけど、仲間であることに変わりはない。

 あんたらに手を出したこいつらは、本来ならブタ箱行きだし殺されても文句は言えない。
 だけどあんたらは、こいつらの命を奪わないでくれた。
 だから謝罪する、感謝もする」

 しん、と宿内が静まり返る。
 果たして、この結末を予想できた者がいただろうか。

「……頭を上げてくれ」

 コヨーテの言葉を受けても、男は頭を上げようとしない。
 それほど悔やんでいるのか、感謝しているのか、両方か。

「お前たちがやったことは、まだ許されることの範疇だ。
 娘さんに死ぬほど謝って許しを乞え。
 それで許してもらえれば、オレは何も言わない」

 そう、コヨーテは告げる。
 娘さんの感じた恐怖を思えば、何もせずに許すわけにはいかない。
 何より、盗賊の男がそれを望んでいないだろう。

 だから、最も理に適った解決法を提示する。
 コヨーテにとっては五体満足で、しかも傷一つなく荒事が終わった時点で、それ以上何かを求めることはないのだから。

 それから、チンピラは娘さんを捕まえてひたすらに平謝りに謝った。
 娘さんとしては終始困惑していたが、どうにか許しを得ることが出来たようだ。

「オレはコヨーテ、お前は?」

 気を見計らって、コヨーテは盗賊の男へ話しかけた。
 興味が無いといえば嘘になるほど、コヨーテはこの男に好感を持っている。

「レンツォ」

 男はぶっきらぼうに思えるほど簡潔に答える。

「……オレたち、冒険者パーティを組んでるんだ。
 それで、後は盗賊が足りない」

「勧誘か?」

「別に盗賊なら誰でもいいってわけじゃない。
 オレたちだって人を選ぶし、質を選ぶ」

 その言葉に、レンツォはニヤリと笑みを作る。
 確証は無いが、コヨーテはレンツォが平凡な盗賊ではないと感じていた。

 おそらくレンツォも、見抜かれたことに笑みを作ったのだろう。

「分かってるじゃん。
 僕もさ、この腕をもっと別の何かに使いたいと思ってるのさ。
 スリだとか、イカサマだとか、そんなつまらないこと以外にね」

 そこでレンツォはそこで言葉を切った。
 自らの手を開き、握り締める。

「でもいいのか、お仲間さんに了承を得ないで。
 あんたのワンマンパーティってんなら、僕は遠慮させてもらうけど」

 つまり、一緒について行ってもいいぞ、と言っている。

「勿論だ」

 くい、とコヨーテはバリーらの座るカウンターへ顔を向ける。

「まァ、悪くはないんじゃねぇの」

「反対はしません」

「私もー」

 コヨーテの思った通り、反対は出ない。
 それほど、先の謝罪は印象に残るものだった。

「私も反対はしないわ。
 だけど、私自身がまだパーティに入っていないのだけど」

「あ、悪い」

 小悪魔風に呟くミリアに、コヨーテはばつが悪そうに謝る。
 帰ってきて早々、色々なことがあって忘れていた。

「彼女の実力は知ってる。何しろ目の前で見せてもらったからな。
 何だコヨーテ、お前が一日街を歩いただけでもう揃っちまったじゃないか」

 ミリアの加入にも、異を唱える者はいない。
 そもそも初めから最高のパーティを組む必要はないのだ。
 例え最初がダメダメでも、みんなで乗り越えるから最高のパーティというのは出来上がる。

 そう。
 大事なのは、これからなのだ。



【あとがき】
PCその6、レンツォの登場です。
かるーい性格してます。
ただし真面目な場面では真面目に決めます。

さすがにまとめ切れなかったので、結成編は次回まで続きます。

以下、設定時の覚書。
・アレトゥーザ生まれのリューン育ち。
・元々右利きだが、左手も同じくらい使える。
・ギャンブル好き。
・盗賊ギルドの老盗賊に拾われ、育てられる。
・元々手先が器用だったレンツォは才能を開花させ、一端の盗賊としての技術を身につける。
・基本的に不真面目で、ルナとはそりが合わない。
・皮肉屋である。
・巨乳好き。(某シナリオで入手できる称号は持ってません)

・初期所持スキル
「盗賊の眼」:入手可能シナリオ「交易都市リューン」(GroupAskさん)

○設定上の持ち物
・ナイフ(片刃、接近戦用)
・短剣(両刃、投擲用、一〇本所持)
・盗賊の七つ道具

◆レンツォ(♂・若者) 万能型
(画像は自作です)
レンツォ・ディ・ピント

下賎の出   都会育ち   利己的
神経質    好奇心旺盛  楽観的
遊び人    繊細     軟派
ひねくれ者

いかにもな盗賊のあんちゃん。
軽口叩きまくる皮肉屋ってカッコいいけど、使いどころが難しい。というか苦手?
基本的にコメディ担当。
セクハラ発言して誰かに殴られることがアイデンティティ……にしたい。
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周摩

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